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"第一阿房列車"、キーシン、"ペトルーシュカ"

2014.02.09 - ストラヴィンスキー

ma




内田百閒の「第一阿房列車」を読む。これは、鉄道旅行の紀行文。

時は戦後。金もないのに旅に出ることを思い立ち、借金をする。で、借金についての講釈を述べている。
「友人に金を貸すと、金も友達も失うと云う箴言なぞは、下手がお金をいじくった時の戒めに過ぎない。一番いけないのは、必要なお金を借りようとすることである。借りられなければ困るし、貸さなければ腹が立つ」。
だから、遊びの金ならば借りることは本筋だと、威張っている。不思議な人である。

また文章も不思議だ。苦労してチケットを買い求めたはいいが、せっかくの列車に乗ったのに、たいして面白そうではない。旅館に着いたら着いたで、飯がうまくないの、女中が気に入らないとぼやいているし、海辺を歩けば風が強くて面白くない、などと小言ばかり言っている。
なのにフットワークはいい。弟子(?)の「ヒマラヤ山系」を引き連れて、大阪、御殿場、博多、鹿児島、福島、青森、秋田、山形と走り回る。

理屈ばかりこねている偏屈じいさんだが、文章になんとも言えない長閑な味わいがある。
このシリーズ、三巻まであるとのことなので、次が楽しみだ。










キーシンのピアノで、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」からの3楽章を聴く。

ストラヴィンスキーに「ペトルーシュカ」のピアノ編曲を依頼したのは、アルトゥール・ルービンシュタイン。その以前に、ストラヴィンスキーはこのピアニストに「ピアノ・ラグ・ミュージック」を献呈したが、ピアニストの気に入らず、演奏してもらえなかった。ストラヴィンスキーは編曲に懐疑的だった。
だが、ルービンシュタインが「ペトルーシュカ」の一部をストラヴィンスキーに聴かせ、作曲家を納得させたとのこと。

キーシンのピアノは切れ味抜群で劇的。
どこを叩いても揺るがないテクニックの安定感、まろやかで輝かしい真珠のような音、糊のきいた上等の浴衣のようにパリッとしたリズム。それらの中から、淡い詩情が随所に感じられる。

いささか乱暴に言ってしまうと、これは上品なホロヴィッツ。技術的にはおそらく遜色ないものの、いたずらに技術的な効果は見せびらかさない。このスマートさがキーシン流。
ホロヴィッツも好きだけどね。



2004年8月、フライブルク、SWR南西ドイツ放送局スタジオでの録音。






ma
 

海辺。










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Comment

キーシンのロシア物はいいですね - yoshimi

こんにちは。
キーシンは、力技でバンバン打鍵する人ではないので、「ペトルーシュカ」も華麗で品が良いですね。
音も柔らかく伸びが良くて綺麗です。

このアルバムで好きな曲は、スクリャービンのソナタです。
彼のソナタのうち、第1番から第4番までは好きなのですが、第5番以降は徐々に神秘的で幾分オカルティック(?)な世界に入っていくので、あまり馴染めないものがあります。
この曲でも、キーシンの演奏は、瑞々しい叙情感が美しくて良いですね。
2014.02.12 Wed 18:34 URL [ Edit ]

同感です。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
キーシンのペトルーシュカ、いいですね。予想通りかそれ以上です。
この曲は、ポリーニの名盤がありますが、あれよりもしなやかで彫りが深い演奏だと思います。テンポもかなり速めで、スピード感が心地よい。
カップリングのスクリャービンを記事にしようか迷いました。とてもロマンティックないい曲だし、ピアノも冴えています。
5番以降は徐々に神秘的でオカルティックですかあ。まだ聴いていないかもしれません。怖いもの見たさで聴いてみようかな。
2014.02.12 19:53
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