アンセルメのシューマン例によって、今週に読んだ本の感想を書こうと思ったが、「悩みのるつぼ」の相談があまりにも面白かったので紹介したい。
相談者は50代の主婦。
「私の夫はこの35年間に3回の不倫をしました。」
-中略‐
「今回の相手は人妻で、夫と別れたとたん、私に無言電話で嫌がらせをするような性悪な女でした。」
-中略‐
「それで、私はどうにかして夫に復讐してやろうと思っています。『悪かった』と心底思わせたいのです。」
「とりあえず、お弁当のおにぎりの塩味を濃くしてみましたが、塩分の取りすぎで病気をされたら看病するのは私だし、これではダメだ、と思います。なにかいい復讐方法があったら教えてください。」
回答者は相談者をかわいい奥さんと言っているが、まったく同感。彼女は、全国の読者を和ませるために投稿したのではないかと思うほど。日本の土曜の朝が、ちょっと明るくなったような気さえする。
悩み相談は、回ごとに硬軟おりまぜるのがよいようだ。
シューマンの交響曲のオーケストレーションの評判はあまり芳しいものではないが、聴いていて特段気になったことはない。
楽器を重ねすぎる、なんてよく言われるけれど、それがマイナスになっているとは感じない。曲想が豊かだからそれを補っている、というふうでもなく、管弦楽そのものが決して悪いものじゃないように思うのだ。
見るに見かねて、なのかはわからないがマーラーなんかが手を入れた版もあるが、聴き比べるとあまり遜色がないんじゃないかなあ。
もっとも、「なになに版」とうたっていなくても、指揮者がこっそり手をいれているのかもしれないが。
アンセルメによるこの演奏もしかり。ここにはじゅうぶんにオーケストラの楽しみがつまっている。
2楽章においてのホルンやオーボエの響きには、軽やかななかにほんのりコクがある。終楽章の弦楽器は朴訥ながらもつややかな光沢を放つ。そして、全曲にわたって展開される几帳面なバランス感覚。明快な響きのなかから、シューマンの詩情が漂う。
ラストのティンパニの扱いが面白い。ソロの部分でトリルをいれている。
この曲の数多くの録音のなかで、これはかなり優れた演奏じゃないかと思う。
1965年4月、ジュネーブ、ビクトリア・ホールでの録音。
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