ボストリッジのテノールと内田光子のピアノでシューベルトの「美しい水車小屋の娘」を聴く。
この音楽をシューベルトの数ある名作のなかでもっとも愛する。
語り口が優しいシュライアーの数々、この上なくリリカルなヴンダーリヒ、激情を爆発させるヨゼフ・プロチュカ、小川のようになめらかなプレガルディエン、はちきれんばかりの若々しさを湛えたアライサ、等々。いとおしい歌唱がいくつもある。
その中で、ボストリッジの歌はそれらのどれとも異なる。
彼は楽譜と歌詞を丹念に読み込み、ひとつの音たりとも手を抜かず、全力投球でこの音楽に真正面から立ち向かっている。
考えられる限りの技巧を尽くしているし、声も綺麗だ。強いて言うなら、ディースカウのスタイルに似ているかもしれない。とても完成度は高い。
にも関わらず、聴いたあと、しっくりと心に沁みない。
聴いていてストレスを感じるのだ。
さまざまな技巧を駆使すればするほど、緊張感を強いられる。彼自身が、大変なストレスを感じながら歌っているのではあるまいか。それがこちらにも伝わってくる。
とてもいい演奏ではあるけれど、上記の理由から、あまり繰り返し聴く気にはならないのだ。今のところ。
2003年12月、ロンドン、リンドハスト・ホール、エアー・スタジオでの録音。
内田百閒にならって列車の旅。
今回の旅は、福島、仙台、盛岡のルート。
昼間はひたすら列車に乗り、夜はただ呑む。地元の人と呑んで、震災後の話を聞く。
二日目のルートは郡山~福島~仙台。全部普通列車。
いずれもボックス席ではなかったので、旅情は薄かった。
これで福島へ。
これで仙台へ。
朝市場。
コボスタジアムで楽天対オリックス戦を観る。
屋根のない球場は、やはりいい。
スコアボード。
ケネディ駐日大使の始球式。
牛タン弁当。
オリックスの先発は西。いま一番の注目株。
楽天の先発は川井。
熱狂する楽天ファン。
試合は、投手戦をオリックスが2対1で制した。
地下鉄南北線。
国分町のバーのマスターにはいろいろと話をしてもらった。マスターは福島のいわき出身。その笑顔からは、震災の傷跡はみえない。
「美味しんぼ」の件については静観していた。「そういうこともあるかもしれませんねえ」と。
小学館は政府から圧力をかけられたのだろう。これが言論の弾圧でなくて何であるか。
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