ウェルナー・ギュラのテノール、ヤン・シュルツのピアノで、シューベルトの「美しい水車小屋の娘」を再び聴きました(1999年、ハーレムでの録音)。
ギュラは1964年にミュンヘンで生まれたテノール歌手。私と同い年。
10年くらい前に彼の「詩人の恋」を聴いて、大変感銘を受けたため、このディスクを探して聴いたのが数年前。
清涼感を求め再び取り出しましたが、感銘の深さは変わらず。なんと瑞々しい歌でしょう!
彼の持ち味は、透明感のあるまっすぐな声。これほど声のいいリリック・テノールは知る限り、シュライアー、ヴンダーリヒ、それ以降はクリストフ・プレガルディエン以来ではなかろうか。歌い回し以前に、まず声の素晴らしさで魅了されます。
この曲においても、まったくケレン味はなく、直球一本やりの投球。
この作品は、若さだけが取り柄であろう若者の恋の物語だけども、青春という摩訶不思議なパワーをこれほどまでに直截に描いた音楽は、そうそうないでしょう。
人生は辛いことのほうが多い。でも、この世界をこのうえなく美しく感じることもある。シューベルトの音楽は、それをたしかに照射してくれます。
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