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キーシンのシューベルト「ピアノソナタ第21番」

2006.08.10 - シューベルト
シューベルト

シューベルト ピアノソナタ第21番/キーシン


食い合わせの悪い話。

私は、ほぼ毎晩晩酌をする。
発泡酒に始まって、赤ワインを呑んで締めるパターンが多い。
赤ワインには肉料理とかチーズとかが良く合うのだが、私は関東人なので、ワインに関係なく、月に数回、納豆を夕飯に食べることがある。
時折、間違えて両方を同じ晩餐の食卓に並べてしまうのだ。
納豆と赤ワイン。
これが、絶望的に合わない。

納豆のあとに、鶏のから揚げとか、サラダを食べても、納豆は口の中のしつこく残るので、ちょっと気を抜いて赤ワインを含むと、なんとも苦い異臭が口の奥から鼻のほうにしみ渡るのだ。

こいつは、結構強烈。
つらい思い出をつくるには絶好のメニューである。
この両者に、スーパー仁くん!



さて、シューベルトのこの不可思議な作品について。

彼はこの作品を、何故作ったか。
生活のためでははない。
誰かに捧げるためではない。
強制されたわけでもない。
ただ、自分が書きたいから書いた曲である。
しかも遺作。
純粋という言葉を、普段私は使わない(自分に全くそぐわない)のだが、これは一人の人間が、真っ向から純粋に作った音楽だと言える。

キーシンの演奏でいうと、第1楽章だけで22分を要し、全体で46分という長さである。
第1楽章はホントに「天国的」に長大。キーシンは奇をてらわずに、真正面からがっぷり四つに組むものだから、これを乗り切るには、もうシューベルトになりきって身をゆだねるしかない。
第2楽章は副声部のリズムのアクセントを際立たせていて、ゆっくりとした音楽ながらも軽快さを感じる。
第3楽章は、神経質に揺れ動く不思議な曲だが、一瞬で終わる。
終楽章は、なんだか、困っているような主題で展開される。キーシンは明快に弾ききっていて、あたかもウイーンの夜の酒場にいるような、こころの底がそうっと浮き立つような音楽を奏でる。

シューベルト。なんとも気の長い、気の遠くなるような、ロマンあふれる音楽を書いたヒトだ。
赤ワインにはチーズがよく似合う。




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