ズスケ弦楽四重奏団名越康文の「心がフッと軽くなる『瞬間の心理学』」を読む。
メンタルヘルス系の本はじつに多く出回っているが、よいものは少ない。当たり前のことばかりを延々と書いているので最後まで続けるのを断念するようなものだったり、通して読んだとしても読み終えた瞬間に読んだことすら覚えていないようなものが大半だ。
そんななかで、この本はいくつかの示唆に富んでいる。
「ブルーマンデー症候群」は、休日の楽しかった時間への執着から起こるストレスだと仮定する。せっかく休日に癒された心の疲労は、そのストレスに差し引きされて解消していないことになる。日曜の夜になると、そうしたモヤモヤした思考がわいてきて、頭の中を暴走する。その暴走をいかに抑制するか。
夜寝る前に、5分程度、目を閉じて集中する。いろいろな思考の断片が浮かんでくるが、それを自分で抑えて「今、ここ」の状態を冷静に見つめられる集中力がついてくれば、自分の心のかなりのところをセルフコントロールできるという。
と、こうして抜粋してもいまひとつピンとこないと思うが、基本は「集中」することであり、それは難しいことではあるが、ひとつひとつの行動を意識化することが肝要であるらしい。
それは具体的にはどうやったらいいのか、手順を具体的に書いている。
今晩から試してみようかな。
ベートーヴェンの後期の四重奏曲は、古典の形式の枠をはみ出るような音楽になっているが、なかでもこの14番は破格の規模を持つ。
なにしろ7楽章だもの。ハイドンにも数の多い楽章をもった曲があったような気がするが、この曲における後味の微妙さはハイドンのそれとは、ちょっと違うように感じる。この曲は、楽章のつなぎがなんともあいまいに聴こえるところが人を食ったようだし、それぞれが違う生き物のようにヌラリヌラリと、あるときはバシバシと怪しく蠢いている。
とりとめがないから、どういうアプローチがよいのかは、過去の演奏の傾向から感じてみるしかない。
そういう観点から思うと、ズスケが率いる四重奏団は、この分裂的破壊的音楽に対して、ど真ん中ストレートを中心に組み立てた配球で迫っている。
松脂の飛び散るような弦の音がじつに生々しくて、この響きだけでも一聴の価値がある。さらに、ヌラリ音楽を奏するときのやるせなさや、バシバシ楽章に対する整った激しさのコントラストがはっきりしている。作曲者はこれを書いた当時、世の中について諦観していたのか、もしくはいきり立っていたのか。
おそらく両方だったのじゃないかなと、サッポロ黒ラベルをぐびぐび呑みつつ妄想するのだ。
カール・ズスケ(vn)
クラウス・ペータースカール(vn)
ハインツ・ドムス(va)
マティアス・プフェンダー(vc)
1976年、ドレスデン・ルカ教会での録音。
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ズスケの全集をお持ちですか。ワタシはこれしかもっていないのです。シャルプラッテンの1000円盤、もっと買っとけばよかった…といいつつも、後期を面白く聴くようになったのは最近なのです。
この14番を聴く限りでは、ズスケのベトはよいですね。
ビールと名のつくものはみんな好きですが、あえて言うと、
サッポロ黒ラベルか、キリンラガー、もしくは一番搾りです。
もっとも、目隠ししたらスーパードライとの違いもきっとわかりません^^