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ディーター・ハウシルト指揮 新日本フィル演奏会

2014.01.26 - 演奏会

ma



ヴォルフ=ディーター・ハウシルトが指揮をした、新日本フィルの演奏会を聴きに行った。
 
プログラムは、シューベルトの交響曲4番「悲劇的」とブルックナーの交響曲4番「ロマンティック」。

ハウシルトという人、名前も音楽も初めて聴いた。
彼はチューリンゲンで生まれたドイツの指揮者。ワイマールのフランツ・リスト音楽大学に進み、ヘルマン・アーベントロートに師事した。
卒業後、フランクフルト・オーデルのハインリヒ・フォン・クライスト劇場の音楽総監督兼首席指揮者になり、ヴェルディ、モーツァルト、プッチーニといったオペラのレパートリーの経験を積んでいったという。若いころにオペラで叩き上げた、ヨーロッパの典型的な指揮者と言える。
その後、ライプツィヒ放送響の首席指揮者や、ベルリン放送響の首席客演指揮者、エッセン歌劇場の首席指揮者を務めた。


さて、前半のシューベルトは、直線的なヴァイオリンを主体にした、厚みのある演奏。1楽章はまだエンジンがかかっていなかったようで、全奏の部分が混濁していたが、徐々にアクセルを吹かし始め、あのチャーミングな終楽章は、とてもよく鳴っていた。この楽章の、ヴァイオリンとクラリネット、オーボエの掛け合いは、本当に素敵。

ブルックナーは圧巻。
かなりゆっくりとしたテンポを基調にし、そのなかで細かな表情を控えめにつけ、綾をつけるあたり、手慣れた雰囲気があった。
また、同じフレーズを繰り返すときは、二度目を少し弱めに響かせるなどの味付けをしており、これが自然にうまく調和していた。

この曲は、ホルンが上手くないとどうにもならないので、それが少し心配であったが杞憂に終わった。首席の吉永雅人は、始めから終りまで、ほぼ完璧に吹ききった。素晴らしい。
他の金管楽器のメンバーも上手いものだった。特に、弱音を安定した音量で吹かすあたり、見事の一言。

終わってみれば、80分近くを要する大演奏であったが、弛緩するところのない、充実の時間を過ごすことができた。

このコンビを聴き終えて、彼らはまるで大昔からブルックナーを演奏し続けているかのような印象を持った。
そう、チェリビダッケとミュンヘン・フィル、そして朝比奈隆と大阪フィルのような。
考えてみれば、新日本フィルは、朝比奈とブルックナーをよく演奏していたのだ。もう何十年も前になるが、そうした伝統というものが残っているのかもしれない。

素晴らしいブルックナーだった。



2014年1月25日、東京、すみだトリフォニー・ホールにて。







ma
 

朝の港。







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