モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」 ヨゼフ・クリップス指揮ウイーン・フィル ドン・ジョヴァンニ:チェーザレ・シエピ 騎士長:クルト・ベーメ ドンナ・アンナ:シュザンヌ・ダンコ ドンナ・エルヴィーラ:リーザ・デラ・カーザ ドン・オッターヴィオ:アントン・デルモータ レポレッロ:フェルナンド・コレナ ツェルリーナ:ヒルデ・ギューデン マゼット:ヴァルター・ベリー「電車の中で何を聴いたらいいの会」を単独実施中である。
今週は、通勤中に「ドン・ジョヴァンニ」を聴いている。自宅から勤務先まで片道で約1時間半かかるのだが、それがこのオペラの時間にちょうど合っていて、なかなかいい塩梅。一昨日などは、第1幕の終了とともに会社にたどり着き、全曲のフィナーレを家の玄関で迎えた。絶妙のタイミングであった。
音楽を聴きながら移動していると、目的地に近づいてもまだキリが悪いことがよくある。そういう時は、差しさわりがなければ目的地に着いても聴き続けてしまう。
また、車で音楽を聴いているときに、もう家に着くかなというときにまだ楽章の途中だったりすると、わざわざ遠回りをして最後まで聴くことがある。しかし、こんなことをやっていると時間の無駄でもあるようだし、地球にも厳しい。そういうわけで、曲の終わりと共に目的地に着くタイミングというものは、スパゲティの茹で具合と同じくらい重要である(!?)。
それにしても「ドン・ジョヴァンニ」の第1幕はいい。良すぎて参る。豊満にして精妙でかつ運動量の多いメロディーが湯水のごとく溢れ出る。アリアひとつだけを取ってオペラをひねり出してもそこそこ有名になりそうな音楽が次から次へと続いていくのを聴くのは眩暈がするほど快感であるが、こんなにステキなメロディーを続けざまに書いてしまってもったいないではないか!と気が気ではない。
アマデウス君、こんな素晴らしいオペラをわしのために作ってくれてスマン、ホントにすまんのう、と感慨もひとしおだ(酔っ払いの戯言なので気にしないでください)。
それにくらべると、第2幕はやや退屈である。第1幕でエネルギーを使い果たして、ちょっとペースを落としているような気がする。主人公の地獄落ちのシーンでまた一気に盛り返すが、それまでがいまひとつ。これは通向けの音楽なのかも知れない。来週は違う演奏を聴いてみよう。
シエピのドン・ジョヴァンニは余裕ある声量でもって自然な響きを出しており素晴らしい。
ギューデンのツェルリーナは可愛さたっぷり、ダンコのドンナ・アンナも色っぽくていいですな。
クリップスという指揮者を私はあまりよく知らないのだが、オケの資質を無理なく引き出すというイメージがあって、ここでは全体にとても生き生きとしていると思う。何といっても第1幕をあれだけ楽しく聴かせてくれたのだから、悪いわけはないのだろう。
1955年録音。フォルテッシモがひび割れるのがちょっと残念だけど、ステレオであれば文句は言えない。PR
無題 - sweetbrier
Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
いや、まったく困りました。私も違う演奏のものを聴いてみたくなりました。
「コシ・ファン・トゥッテ」の重唱もなんとも言えず素晴らしいですね。ただ、「コシ」のほうが上級者向けのような気がしました(乏しい経験上)。モーツァルトのオペラは電車の中でも具合よく聴けるようで、最近毎日聴いています。来週は違う演奏で聴こうかと。
また、グールドのパルティータも乗り物向けのようで、私は車に常備しておりマス。
2007.03.09 23:05
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
このボックスは、個人的に昨年度お買い得№1でした。録音が少々古いのを除けば、みんな良かったです!
その中でも「ドン・ジョヴァンニ」はいいです。シエピは安定しているし、ギューデンの可憐な歌がなんとも…。他でも歌っていた彼女がこのBOXの最優秀選手賞ではないでしょうか!?
2007.03.10 00:09
無題 - ダンベルドア
Re:ダンベルドアさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
廉価なので歌詞対訳はついていませんが、内容は満足のいくものでした。
当時モーツァルト生誕200年に向けての一大プロジェクトは、今思えば夢のようなキャストです。
このBOXのなかでも「ドン・ジョヴァンニ」は特に聴き応えがありました。
全体に録音はさすがに古くなりましたが、55年でステレオならば充分だと思います。
2007.03.11 22:35
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