ルドルフ・ゼルキン ベートーヴェン選集太宰治の「親友交歓」を読む。
これは、小学校時代のクラスメイトが突然現れて、家じゅうの酒を呑まれる話。
呑むだけならまだしも、嫁に酌をさせろとうるさく、仕方なしに嫁を呼んでくると、予想した通りのグダグダな宴会になっていく。
かなり痛々しい展開であるが、筆致は醒めていて、どことなく友に同情的。それは、常日頃の自分の行動を重ね合わせたからだろうか。
不思議な味わいの短編。
ゼルキンの2種の「合唱幻想曲」を聴く。
珍しい編成の音楽で、一時期よく聴いた。中期のベートーヴェンらしい熱い思いが煮えたぎるようにたたみかける。
演奏のバランスとキレは、ピアノ、オケともにニューヨーク盤のほうがいい。年代のわりに録音もよく、何度聴いても飽きないたぐいの演奏になっている。
一方、ライヴのほうは、ゼルキンの技巧の衰えがやや感じられるものの、勢いはある。特に、後半の合唱がはいってからのくだりは、熱を帯びている。ピーターの指揮がヒートする。
こちらのほうが20年ほど新しい演奏なのだが、スタイル、録音ともに古色蒼然としたものを感じるのが不思議だ。
ウェストミンスター合唱団
ニューヨーク・フィルハーモニック
レナード・バーンスタイン(指揮)
1962年5月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音
マルボロ祝祭合唱団、管弦楽団
ピーター・ゼルキン(指揮)
ナン・ノル(S)
ビバリー・モーガン、シャーリー・クローズ(Ms)
ジーン・タッカー(T)
サンフォード・シルヴァン、デヴィッド・エヴィッツ(Br)
1981年8月、マルボロでのライヴ録音
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