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バーンスタインのベルリオーズ「幻想交響曲」

2010.12.12 - ベルリオーズ
  
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レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル


土屋賢二の「ツチヤ学部長の弁明」を読む。
哲学研究者らしく世の中をハスに眺めた見解はここでも絶好調。自虐ネタが冴えわたる。ことに、女に対する見方は、ユーモアを混ぜつつ芯をとらえている。以下は、女の正義感が強いことについて。
「記憶をたどれば、ほとんどの男は小学校のホームルームで女子から『不道徳だ』『不正を働いた』と糾弾されたことがあるはずだ。先日、授業で学生に『恋人の男が道ばたに平気でゴミを捨てたらどう思うか』とたずねたところ、全員が『絶対に許せない』と断言した。だから、彼女たちにとってはゴミ同然の中年男が道ばたを歩くのを許すはずがない」。
確かに中年男はゴミ同然だからなるべく関わらないようにしているが、女性からみればワタシもゴミ同然なのだということを思い知らなければならないだろう。


バーンスタインの「幻想」は、フランス国立管での演奏を聴いたことがある。モヤモヤした録音のおかげで、音がひとつの大きな塊になっていて、霧のなかでゴソゴソうごめくような印象しかない。指揮者が目指したであろう激しさはいまひとつ伝わらない演奏だったように記憶する。
そういうことがあったので、このニューヨーク・フィルとの1度目の録音に対しては、あまり過度な期待はしないでおこうと思いつつ聴き始めた。
録音がEMIのものから十数年も前なのに、こちらのほうがずっと鮮明。細部がよく聴こえるからストレスがない。1楽章でのヴァイオリンのきついアタックや、2-3楽章のハープとコーラングレの雄弁さ、4楽章のチューバの強い自己主張、終楽章の黄泉の国のような大太鼓あたりに、指揮者の曲に対する思い入れが感じ取れる。
ところどころデフォルメしている場面はありつつ、音楽全体のバランスをうまくとっているので、フォームがしっかりしている。安定感がある。ラストは激しいが、理性の目が常に光っている。才気煥発。さりげない計算が、60年代のバーンスタインのひとつの特徴であるようだ。


1963年5月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは
お久し振りです〜
仕事やら色々でコメントが遅くなりました〜

土屋さんの本は読んだことがないように思います
「女性の厳しさ、逞しさ」は日々思い知らされています。職場におられる女性がそうなのか、それとも私が出会っている女性がそうなのか、その辺りは分からないのですが〜。私もゴミの一つです。

バーンスタイン、ニューヨーク・フィルハーモニックの「幻想」LPで発売されたときに買ってもらった、想い出の演奏です。小さなレコードがおまけに付いていたんですよ。このボックスが届いてから、最初に聴いたかもしれません。良い演奏をしていますよね、それにオケストラが上手いですよね

記憶に残っている演奏というものは良いものですよね〜

▼・。・▼
2010.12.30 Thu 14:26 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

本日が仕事納めでした。転職して4年目、いろいろ大変ですが、なんとか今年も乗り切れそうです。

女性の逞しさ、ワタシも実感しています。なんであんなに元気なのでしょう。わけがわかりません。まったく勝てる気がしません^^

LPから聴いておられるのですね。フランス国立のがあまりピンとこなかったので、どうかなと思いましたが、ニューヨークのはいい演奏だと思いました。60年代のバーンスタインは、つくづくいいですねえ。
2010.12.30 18:18

無題 - Yuniko

バーンスタインの「幻想」。フランス国立管とのLPを父が所有していました。自分もCDで買ってはみましたが、感想は吉田さまとまったく同じです。昨年末に発売されたDVDの方はずっとましですが・・・。
私の「幻想」ベスト1は、ミュンシュ&ボストン響の演奏です。2000年春、東京の石丸電気でXRCD盤を試聴して衝動買いしました。パリ管との演奏が評価が高いですが、自分は今一つでした。ベスト2は・・・貴ブログの「マゼールの第9」のところで低評価でしたが、マゼール&クリーヴランド管(SONY)のものです。Telark盤は演奏も録音も柔らかすぎてペケ。
実演も入れてよいなら、94年初頭のガリー・ベルティーニ&ケルン放送響のものが断然ベスト1。これは以前NHK-BSで放送されたので、いずれDVD化されるのではと期待しています。
2011.02.27 Sun 00:35 [ Edit ]

Re:Yunikoさん、またまたありがとうございます。 - 管理人:芳野達司

フランス国立管とのものは、LP時代に聴いてピンとこなかったのです。録音があまりよろしくないので、CD化されればと思っていましたが、実際はそんなに変わり映えしなかったように思いました。
ニューヨークでこれだけ冴えた演奏をしているのに…やはり録音がいまひとつなのじゃないかと思います。

ミュンシュについて同感でございます。世評高いパリ管よりも、断然ボストン響のほうが冴えているかなと。54年、62年どちらもいいです。
ただ、昨年(一昨年かな)に出たパリ管とのライヴはよかったです。同じパリでもスタジオ録音とちょっと別物といった感じです。
他の指揮者では、ドホナーニとクリーヴランドの演奏を気に入っています。
ベルティーニのものも興味深いですねえ。
2011.02.27 17:13
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