忍者ブログ

インドなんて二度と行くか!ボケ!!、オーマンディ、メサイア

2011.05.05 - ヘンデル
 
ha

ヘンデル「メサイア」 オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団


さくら剛の「インドなんて二度と行くか!ボケ!!」。これは、ニートの若者のインド旅行記。インドに行ったら人生観が変わる、とよく聞くが、この著者も変わったと言っている。それは、ガンジス川にみられる死生観のギャップの衝撃、というようなものではなくて、客引きの強烈さのハングリー精神。
駅を降りた瞬間に群がる客引き。そのなかから料金交渉がまとまった人力車に乗るものの、着いたのはホテルではなく土産物店。あるいは、ボッタクリの旅行会社。文句を言っても、ああいえばこういうで埒が明かない。ブチ切れるといったんは素直に言うことを聞くが、喉元すぎるとまた逆戻り。土産物屋をいったりきたりで、日は暮れる…。
ひとり旅の気楽さと面倒くささ。断る力をつけたいなら、カツマーよりも本書を薦める。
面白すぎて、電車で読むのは危険。


オーマンディの「メサイア」、これはハイライト版。75分あまり収録されているので、だいたい全曲の半分はおさえていることになろうか。まあ、全曲に挑戦したところで半分は寝ているので、これくらいがちょうどいいかもしれない。ちなみに、全曲からなにが漏れているかというと、序曲、ソプラノのアリア(これは好きな曲なだけにちょっと残念)、それからテノールのアリア…あとは思い出せない(泣)。
この演奏は、モダン楽器を使ったスタイルのもの。極彩色のスケール大きな音楽が展開される。寺で言うと、日本のモノトーンのものではなく、タイやベトナムにあるような、派手でパワフルな仏像をイメージする。演奏で言えば、ビーチャムとかサージェントのスタイルと似ており、さらにそこにひと匙の金粉をまぶしたような豪奢さが加わっているような。ビーチャムのようなシンバルの一撃はないものの、ティンパニの強打はここぞという場面で炸裂しており、気持ちがいい。
合唱はけっこうな人数で歌っているようで、すごく広がりがある。ときには棒読みのように硬く、ときには情感を目いっぱいに込めて歌い上げていて、感情の起伏の幅が大きい。
歌手では、とくにバスのウォーフィールドがいい。筋肉質で野太い声が細やかにコントロールされていて、この曲の演奏でときどき発声する音程の怪しさはなく、安定している。ソプラノは第3部のアリアが秀逸。膝枕してもらいたくなるような、不思議な包容力がある。アルトは、カウンターテナーのように聴こえる。
オーケストラは、やはり合唱団と目指す方向が同じで(逆か)、空間的な広がりがスゴい。聴覚のすみずみにまで豊かな音が沁み渡る。有名なトランペットとバスの絡み合いは、この演奏としても白眉のひとつ。極上の金色の酒。
やっぱり全曲聴くべきかな。


アイリーン・ファレル(S)
マーサ・リプトン(A)
ウィリアム・ウォーフィールド(Bs)
モルモン・タバナクル合唱団

1958,59年、フィラデルフィアでの録音。
PR
   Comment(3)   TrackBack()    ▲ENTRY-TOP

Comment

オーマンディのメサイア - narkejp

こんにちは。オーマンディのメサイアは、若いころにマークしていたものの、入手し損ね、CDの時代になって、輸入盤で発見し狂喜乱舞した(^o^)盤です。立派な演奏ですね~。私も大好きです。もしかすると、これもそろそろパブリックドメインになっているのでしょうか。ありがたい時代です。
2011.05.05 Thu 18:24 URL [ Edit ]

Re:narkejpさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

オーマンディのメサイア、すばらしい演奏です。なにより、おおらかで清々しい。GWのゆったりとした休日の昼下がりを、堪能しすぎて昼寝しそうになりました。
聴いたのはハイライト版ですが、これだけでもじゅうぶんなカロリーがありますね。
仰るように、録音年代からしてパブリックドメインになる世代なのでしょう。そこで聴いてしまったら、申し訳ないと思うような演奏です^^
TBありがとうございます。
2011.05.05 21:42

『深夜特急』を思い出しました - yoshimi

インド旅行記、面白いそうですね!
海外旅行記はわりと好きなので、村上春樹やビル・ブライソン、あとベトナム旅行記は自分でも行ったことがある国なのでよく読みました。

私の世代だと、すぐに思い浮かぶのは、沢木耕太郎の『深夜特急』でしょうか。
文庫本で全6巻あって、昔はバックパッカーのバイブル(?)だったらしく、普通のこぎれいな旅行記とは全然違います。
随分以前に読んだので、インドはどうだったかなと本を探してみたら、なぜかインド・ネパールの巻だけ読んでいなかったのを発見。
これだけ抜けていると、どうも気持ちの悪いものがあるので、早速本屋さんへ買いに行きます。
思い出させていただいて、どうもありがとうございました(笑)

2011.05.06 Fri 00:34 URL [ Edit ]

Re:yoshimiさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

このインド旅行記、いささかワカモノ言葉が過ぎますが(?)面白かったです。こうした読み物は、発展途上国を舞台にしたものがよいようです。ちょっと毛色は違いますが、村上春樹のギリシャ・イタリア紀行も面白かったです。ここでは食事のシーンにやられました。

そうそう、沢木耕太郎の『深夜特急』は読みました。旅に出たくなる本です。
なかでも一番印象に残っているのは、パキスタンの路線バスの巻です。昨日のインドでも少し出てきましたが、あのあたりの運転はそうとうに荒いようです。沢木さんが手に汗を握る様子がリアルに伝わってきます。
2011.05.06 21:30

お早うございます〜 - rudolf2006

吉田さま お早うございます〜

連休も終わりますね、私は毎週連休がありますから、どうでもよいのですが、爆〜。吉田さんは連休はありましたか?
確か、なかったような記憶があるのですが〜。

「インド旅行記」面白そうですね〜 吉田さんに教えてもらった本は面白いものが多いので、Amazonのカートに入れました〜爆〜。

オーマンディ師の「メサイア」は、アメリカのAmazonにあり、私が買ってから確か日本のAmazonにも入荷したように思うんですよ。
クリスマスの時期には毎年聴いています。
アルトは私もカウンターテナーのように聞こえました、何にも記載はありませんが〜。

「四季」でもそうですが、絢爛たる演奏、きっとヘンデルが聞けば、オーケストレーションをもっと豊かなものに変えたのではないでしょうか??
こういう演奏は今はあまり聴かれないようですが、面白いと思うんですが〜。
2011.05.08 Sun 10:46 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

インド本、なかなかでした。
一度電車のなかで読みながら含み笑いをしてしまい、恥ずかしい目にあいました。

連休はほぼ暦通りで、2日に休んだので前半は7連休ありました。実質、今日が最後ということになります。
サザエさんも始まり、ユーウツになってまいりました(泣)。

オーマンディ師の全曲盤は、以前にrudolf2006さんが書かれていたので、興味があったのですが、ハイライト版で妥協してしまいました。
75分も収録されているので、いいかなあ、なんて。聴き始めると、全曲ほしくなるのですけど。
それにしても、あのアルトはどうきいてもカウンターテナーですよね。どういうことなのでしょうねえ。
2011.05.08 18:54
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー