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"ゴジラ"、グリュミオー、"シャコンヌ"

2014.08.30 - バッハ
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錦糸町楽天地シネマズでギャレス・エドワーズ監督の「ゴジラ」を観る。

前回アメリカで作られたゴジラは、日本製のものとは似ても似つかぬ風体のものであったが、今回のはイメージに近い。ビキニでの水爆実験がゴジラ登場のトリガーになっているあたりも、日本のオリジナルに則ったものだ。ただ、このゴジラは地球人の味方という設定になっている。

敵のムートーは、ギャオスみたいな顔をした手足の長い怪獣。日本の怪獣はたいがい胴長短足であるから、そのあたりの違いは国民性からくるものなのか。

CGを駆使した映像は迫力があり完璧だ。ゴジラの見え方は従来のものとは違う。カメラはあらゆる角度からゴジラを捉えており、臨場感がたっぷり。ただ欲を言うならば、映像はもう少し泥臭いほうがいい。音楽もそう。

見所は、ムートーを追いかけるゴジラと米戦艦の、ホノルルからサンフランシスコへの巡航。もちろん、ふたつの町は気持ちよく壊滅である。何かを破壊することは人間の本能であるな。



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グリュミオーのヴァイオリンでバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ2番を聴く。

宮城谷昌光が「クラシック千夜一曲」の中で、生活が本当に苦しいときは音楽は聴けない、ただしバッハのシャコンヌと音楽の捧げものは例外だ、というようなことを言っていた。いま生活は苦しくないが、それが頭の片隅に残っていたので聴いてみることにした。

このパルティータは全部で5曲からなる。当時の組曲形式の慣例で4曲の舞曲があり、最後にシャコンヌが配置される。最初の4曲が数分なのに対し、シャコンヌはこの演奏で13分を要するから、異形の音楽といっていいだろう。主題と30の変奏からなり、ひとつの変奏はだいたい4~8小節。それを知るとせわしないように思うが、気にしなければ継ぎ目はほとんどわからない。

30の変奏はニ短調、ニ長調、ニ短調と3つにわけることができる。モチーフは最初のニ短調の最後と、最後の二短調の最後に回帰し、全体を有機的にまとめあげている。

メロディーの面白さと曲想の深さにおいて「ゴルトベルク」に匹敵する音楽だと思うし、ゴルトベルクが長いという向きには、こちらを選べばいい。

グリュミオ―はベートーヴェンやブラームスといったドイツ系のものに加え、サン・サーンスやヴュータンといったフランス系の作品に対して、いつも変わりない清廉さをもって演奏するヴァイオリニストだ。このバッハも清々しくてスタイリッシュ、かつ情熱的であって悲劇の味も申し分ない。

こうした中庸にしてノーブルなヴァイオリンの演奏は、いつの時代になっても受け入れられるであろう。


1961年3月の録音。




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Comment

歴代ヴァイオリニスト - neoros2019

中高生ぐらいのころレコードパンフレットを凝視して何度も購入リストに載せては泣く泣く小遣いの限界から消去せざるをえなかったアーティストがレオニード・コーガンとヨゼフ・スークとアルテュール・グリュミオだったと記憶しています。
グリュミオの名前を聴くと、なにかしらの感慨が頭をよぎりますね。
2014.08.31 Sun 14:55 [ Edit ]

どなたもいいですね! - 管理人:芳野達司

neoros2019さん、こんにちは。
私が中高生の頃は、もっぱらパールマンとズーカーマン、そしてチョンばかりを聴いていました。スターンはビックネームでしたが、あまりいいとは思わなかった。一方、グリュミオ―やシェリング、ミルシテインといったところは、ちょっと古いのではないかという印象を持っていました。
コーガンとスーク、そしてグリュミオーの良さを感じたのはここ10年ほどのことです。彼らのヴァイオリンは素晴らしい。今なお、新しいと思います。
2014.08.31 18:24

同じゴジラでも違いますね - yoshimi

こんにちは。
このコジラの着ぐるみを見ると、私にはプロレスラーみたいに見えてきました。
8頭身というか、頭が小さくてスラっとして、米国人に似てスタイル良いですね。
そういえば、『ジュラシック・パーク 』で出てくる恐竜は、足が長くて走るのもはやく、動きも俊敏で、いかにも巨大な爬虫類という感じがします。

日本の怪獣は、空を飛ぶモスラは例外として、だいたい胴長短足で重心が低くて、ノシノシ歩きますよね。
日本の都市は小さいので、走り回る必要もないのかも。
それに、かなり重い(らしい)着ぐるみで動き回るのは大変なんでしょう。

グリュミオーのCDは、バッハの無伴奏とベートーヴェンのヴァイオリンソナタ集(珍しくもピアノ伴奏はアラウです)を持ってます。
グリュミオーの音色は、色彩感がカラフルで明るくて綺麗ですね。
それでいて、軽くなることなく、上品で格調高いヴァイオリンを弾く人は、今時少ないのかもしれません。
2014.09.01 Mon 12:30 URL [ Edit ]

ややアメリカ色?が出ています。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
日本のゴジラに比べると確かに、頭が小さいですね。8頭身。
吹き替え版で観ました。アメリカ映画なので原語は英語なのですが、渡辺謙の声を自身が務めています。当たり前と言えば当たり前なのですが、面白いです。彼は「ゴジラ」と発音する個所を監督から英語で話すようにとの指示を断り、日本語のように発音したとのことです。確かに、日本語で「ゴジラ」と発音しています。

日本の怪獣、最近にBSでガメラシリーズをやっていたので思わず全部観てしまいました。ガメラも胴長短足。。日本人の体形をあらわしているのでしょうか。

グリュミオーのよさをわかったのはここ10年くらいのことです。ヴァイオリンソナタ集はハスキルのピアノで持っています。アラウのもよさそうですねー。
ヴァイオリンはまず音が良い事がキモだと思いますが、彼やフランチェスカッティ、ミルシテインなどは惜しげもなく披露していてステキです。
2014.09.02 21:50
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