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ミケランジェリのシューベルト「ピアノ・ソナタ第4番」

2006.12.29 - シューベルト
ミケランジェリ

ミケランジェリ/シューベルト「ピアノ・ソナタ第4番」他


最初の3日間は帰宅が遅かったのでバイロイトは聴けずじまい。流されゆく日々である。アル中にならないだけましというものか。昨夜はなんとか「神々の黄昏」の第2幕の途中から聴くことができた。
バイロイトのFM放送を聴いていつも思うのだけれど、オケが地下にあるせいか、管弦楽の立体感が希薄で、平板に聴こえる。金管楽器の咆哮だけは際立って聴こえるのだ。でも不思議とオケ歌手との音の溶け具合はいい。録音自体の雰囲気は悪くなく、うすら暗い劇場の臨場感をうまく醸し出していて、実際に上演された真夏のものではなく、むしろ今聴いている冬の季節にピッタリ似合う気がするのだ。



ショルティ

「神々の黄昏」の入門に絶好なのが、カルショーとショルティ/ウイーン・フィルとの録音風景のLDである。ここではこの曲のいわゆる肝の部分を聴くことができる。音楽だけではなく、カルショーとショルティとの論争など現場の様々な作業が映し出されていて、オペラの録音という仕事の煩わしさに唖然となる。
普段、全曲を聴きなれていなくとも、これを聴いていれば全曲を聴いてもそう戸惑うことはない。このLDではニルソンやヴィントガッセンの歌唱がすごくて、思わず身震いするような迫力に満ちているが、衝撃的なのは煙草をスパスパ吸いながら談笑しているF=ディースカウである。
歌手は断じて煙草を吸ってはならないという意見もある。が、私はいいのじゃないかと思う。煙草を吸ってあれだけの膨大な仕事をできるのであればどんどん吸えばよいのだ。
もっとも、昔は歌手でもけっこう吸うヒトが多かったのではないかと思うが。


大人数で賑やかなワーグナーに対し、こちらは孤高の音楽。
シューベルトにミケランジェリは決してオーソドックスな選択ではないが、このイ短調ソナタに関してはライヴのDVDもあることなので、彼が気に入っていた曲のひとつなのだろう。
高音の大理石のように冷たい肌触りと絹のように細やかな低音のぬくもりはまさしくミケランジェリ以外の誰のピアノでもない。この曲の第2楽章は、シューベルト独特の優しくも軽やかなメロディーがおいしい音楽だが、この演奏には底の見えない透明感がある。世界の終わりのような究極の人工美といえる。
年末の慌しさや世間のわずらわしさが、根っこから吹き飛ぶ感覚が走る。
焼酎のお湯割りを手に涙を禁じえない。



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