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シューベルト「美しき水車小屋の娘」 エルンスト・ヘフリガー(T)エリック・ヴェルバ(Pf)今日はドラマ「東京タワー」の最終回であった。倍賞美津子の母親が大変素晴らしく、毎回楽しみにしていた。物語の大まかな流れは、最終回に向かってどんどんテンションをあげていくというものだったが、今日は予想通り泣かせてもらいました。終わってみれば、剛球1本やりの感動ドラマ。
最後に息子役の速水もこみちが遺書を読んで回想シーンが流れるところなぞ、もうたまらないものがありマシタ。
そして残念なニュースも。テノール歌手ヘフリガーの逝去。朝刊で知ったが、享年87歳。
不謹慎かもしれないが、87歳の人が世を去ったからといって、すごく悲しいという感じでもない。けれど、やはり寂しいことは寂しい。現役を退いてからだいぶ経つと思うが、現役時代は日本ともゆかりが深く、私にとっても親しい存在であった。
彼を代表する演奏といえば、新聞にも書いてある通り「マタイ」のエヴァンゲリストといって良いかもしれない。彼のライヴには立ち会うことができなかったし、もちろん全ての録音を知るわけではないが、あのリヒター旧盤での歌いぶりは強烈にして、かつ普遍的な演奏の手ごたえを感じるのだ。
彼は「美しき水車小屋の娘」を好んでいたのか、間隔をあけて何度も録音している。これはエリック・ヴェルバとの演奏。
録音当時すでに50歳になっていたはずなのに、声は実に若々しい。オペラ・アリアのように朗々と歌い上げるというよりも、エヴァンゲリストのように語りかける、というスタイルの歌唱である。
スピード感のある快速テンポで若者の希望を歌い上げる「さすらい」、恋のあせりを大きな起伏をつけて表してゆく「いらだち」、嫉妬心を激しく歌う「狩人」、そして絶望を淡々と歌い上げる「小川の子守唄」。みんないいけれど、私が特に気に入っている曲は、ヘフリガーの声が気のせいか濡れているようで、実際に発する声の後ろから涙がみえてくるようだ。
その時、ぼくの眼に涙が溢れて
鏡のおもてに水輪をちぢらせた。
彼女がいった『雨が降ってきたわ、
さようなら、あたしは家に帰るわ』
ヘフリガーはこの不幸な若者の切なさを歌ってやまない。
今宵は歌に酔い、そして酒に酔うしかないですなあ。PR
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