バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはこう言った」を聴く。
ひととおり聴いて、このコンビにしては響きが厚くて角が丸いと思ったら、これはバーンスタインがこのオケの音楽監督を辞めたあとの演奏だった。
冒頭のティンパニは、なにやら泰然としているし、続く「世界の背後を説く者について」でのヴァイオリンのメロディーはとても甘くてしんなり。「喜びと情熱について」はヨーロッパの古くて大きな教会のように重厚。
「舞踏の歌」の出だしのところで、ソロ・ヴァイオリンの伴奏のハープがキラキラと輝きをみせているあたりは、若い頃の名残りか。とても、おいしい。ホルンのコラールはじつに荘厳。
1950年代後半から1960年代前半にかけてのバーンスタインの演奏でよく耳にできた、木管楽器と金管楽器を前面に押し出した動きの激しい演奏を予想するとはずれる。このあたりの年代から、バーンスタインは変貌していく。
はち切れんばかりの才気煥発さをとるか、老齢になってからの風格をとるかは、好みでしょう。
ヴァイオリンは、デヴィッド・ネイディアン。ポルタメントを利かせた濃厚甘口。
1970年10月、ニューヨーク、フィルハーモニック・ホールでの録音。
海へ。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR