オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、R・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」を再び聴きました(1978年2月、フィラデルフィア、スコティッシュ・ライト・カテドラルでの録音)。
この曲は第二次世界大戦中に作曲されました。滅びへと向かうドイツへの追悼の思いをこめて書かれたと云われています。
弦楽器のみによる編成であり、23名の弦楽器奏者のために書かれていますが、通常の弦5部ではなく、各奏者が独立した23のパートを演奏するよう、スコアは23段になっているそうです。
だから、弦楽合奏の音楽としては、とても広がりのあるものとなっています。
(吉田秀和風に言えば)去りゆくヨーロッパの伝統にたいしてのレクイエムとも位置づけられる本作は、名曲でありながら、比較的録音は少ないという印象。そのなかで有名なのは、終戦直後の1947年に録音された、フルトヴェングラー/ベルリン・フィル盤とカラヤン/ウイーン・フィル盤。時代背景を鑑みながら聴くと、じつに味わい深い。
R・シュトラウスを得意としていたオーマンディが、この曲を録音したのは本ディスクだけのようです。
高度に洗練されていて上品。艶やかな大理石のように緻密な合奏のなかから、微妙なポルタメントの味付けや、淡いヴィブラートのスパイスが絶妙に浮かび上がります。いたずらに悲劇を煽らないところがいい。淡々といていながら、濃密。そしてロマンティック。
美しすぎて、涙をこらえられません。
オーマンディ時代のフィラデルフィアは、希有なオーケストラ。こんな音を出せるオケは、過去を含めて世界中を見渡しても、そう多くはないでしょう。
名演です。
パースのビッグムーン。
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オーマンディの「ティル」はまだ聴いていません。R・シュトラウス作品はいかにもよさそうです。20世紀BOXには「ばらの騎士」組曲が収録されていますが、あれも味わい深い演奏です。
私もケンペ/ドレスデンのBOXはときおり取り出しています。ドレスデンのなんとも言えない鄙びた音色がたまりません。オーマンディとは全然違いますがどちらも素晴らしい。
そういえば、オーマンディの録音集が出ますね。百何枚だかの大物です。ただ、モノラルなので迷っています。。