バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、R・コルサコフの「シェエラザード」を聴く。
クラシック音楽を聴き始めたとき、一時期この曲に夢中になった。当時はロストロポーヴィチ/パリ管、コンドラシン/コンセルトヘボウ管、マゼール/クリーヴランド管、マゼール/ベルリン・フィル、オーマンディ/フィラデルフィア管、プレヴィン/ウイーン・フィル、カラヤン/ベルリン・フィル、マルケヴィチ/ロンドン響などの演奏を好んでいた。
それからしばらく、この曲を聴かない時期があったが、またこの3,4年聴き始めた。シャイー、チョン、シルヴェストリ、小澤(シカゴ、ボストン)、ゲルギエフといったところ。まだまだ聴いていないディスクが多い。
「シェエラザード」一曲だけをとっても改めて、この世界は奥が深いと思う。
このバーンスタイン盤、あまり世評は高くないと思っていたのだが、昔のレコ芸を取り出すと、どうもそうではないようだ。
これは1980年代後半の「新・名曲名盤500」の「シェエラザード」の稿。ロストロポーヴィチ、コンドラシンの評価が高いのは記憶していたが、バーンスタインも4票を獲得している(宇野功芳のみ。さすがと言うか、微妙と言うか)。
しかし確かに、このバーンスタイン盤はいい。冒頭からうねりにうねっていて、ケレン味たっぷり。ただ、その後は細かくテンポを変化させながら、わりとまっとうにぐいぐい進む。
特筆すべきは、やはり当時のニューヨーク・フィルのうまさ。弦楽器は安定しているし、特にファゴット、ハープ、フルート、ホルン、オーボエは雄弁にして鮮烈。3楽章は、ソロ楽器の最大の見せ場。
痒いところに手が届く。
そして、終楽章におけるトランペットを始めとする金管群と小太鼓の追い込み。これは、問答無用に凄い。スゴすぎる。手に汗を握らないではいられない。知る限りでは、シルヴェストリ/ボーンマス響に比肩する。ただ、全曲を通してのクオリティは、バーンスタインが上。
録音は1950年代後半とはおもえないくらい鮮明。
ヴァイオリンは、ジョン・コリリアーノ。
1959年2月、ニューヨーク、ブルックリン、セント・ジョージ・ホテルでの録音。
海辺。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR