「NISSAY OPERA 2017」のプッチーニ「ボエーム」を観ました。園田隆一郎の指揮、新日本フィル、伊香修吾の演出(2017年6月24日、日比谷、日生劇場にて)。
演出は全体的にオーソドックスでしたが、最初と最後にスパイスをきかせていました。
音楽が始まる前、ミミの墓標が舞台に浮かび上がり、友人たちが花をささげます。
そして最後、ミミが死んでみんなが驚愕しているところへ、いきなりミミのベッドが地下に下降し消滅します。そして、同じ場所へ墓標が出現し、再び友人たちが献花するのです。
ミミの短い生涯を軸とした、端的な演出だったと感じました。
歌手はみなさん安定していました。ミミは可憐でいて線が細い。そこは役柄を考慮してのものでしょう。「わたしの名はミミ」はやはり、何度聴いてもいいなぁ。
ロドルフォはミミとのデュエットが素晴らしかった。4幕ではやはり、目に涙が溜まりました。
ムゼッタはちょっと上品なお姉さん。透明感のある声で存在感を示しました。
コッリーネの深い声によるアリアは、舞台の雰囲気を思索的なものに変えるほどの重厚感があり、素晴らしかった。
園田さんの指揮は、とても歯切れのいいもの。音楽がいつもいきいきと躍動していました。そして、歌手に合わせて微妙に強弱の変化をつけるあたりは、手練の技。安心して聴いていられた。
新日本フィルは、ほぼ完璧な出来。このオーケストラでオペラを聴くのはたしか初めてですが、東京フィルや読売日響にもひけをとらないどころか、この日の公演に限って言えば最高のコンディションによる演奏を聴かせてくれました。
日生劇場へは初めて足を運びました。
古めかしいのですが、フロアーは大理石、そこに赤いカーペットが敷いてあり、伝統の重みのようなものを感じました。
ホール内は流線型のデザインで、どの席からもまっすぐに舞台を観られるよう工夫されています。残響は少ないものの、オーケストラを含めて音は2階席までじゅうぶんに届きました。ただ、客席の前後の幅が狭いのが玉にきずでしょうか。
ミミ:北原 瑠美
ロドルフォ:樋口 達哉
マルチェッロ:桝 貴志
ショナール:近藤 圭
コッリーネ:三戸 大久
ムゼッタ:髙橋 絵理
パルピニョール:青栁 貴夫
アルチンドロ:小田桐 貴樹
ベノア:押見 春喜
合唱:C.ヴィレッジシンガーズ
児童合唱:パピーコーラスクラブ
パースのビッグムーン。
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