フレーニのソプラノ、パヴァロッティのテノール、カラヤン指揮ベルリン・フィル・他の演奏で、プッチーニの「ボエーム」を聴きました(1972年10月、ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会での録音)。
このディスクは昔からとても評価の高い演奏ですが、初めて聴きました。いままでは手持ちのセラフィン盤やショルティ盤を聴いてきましたが、満を持して(?)こちらを入手。
ミミは、テバルディも素晴らしいけれど、フレーニもかなりのもの。しみじみ、いい。いざメロディを奏でると、場面が、あたかも後光が差したかのように煌めく。華奢な雰囲気を、まるで普段通りのように纏っている。声は柔らかなんだけど、まっすぐなのですね。それが、とても気持ちがいい。そして、強弱のつけかた、テンポのわずかな落としかたが、とても繊細なんです。
パヴァロッティのロドルフォも、文句のつけようがない。声量のたっぷりとした豊かさ、声そのものの艶やかさ、表情の多彩さにおいて、これ以上はちょっと想像できないくらい。ベルゴンツィもいいんですけどね、パワーはありますよ、やっぱり。
ギャウロフとパネライは鉄板、オーバー・スペックかな(笑)。
ハーウッドのムゼッタは、はすっぱな空気を醸し出していて、それが可愛らしい。とても魅力的です。
ときおり奏されるソロ・ヴァイオリンは、シュヴァルベでしょうか? しっかりとしていて、そのなかにひと匙の哀愁が漂うヴァイオリンです。
ベルリン・フィルは、聴く前、ちょっと重いのではないかと勘繰っていました。それは、杞憂でした。適度な厚みを保ちながら、イエス・キリスト教会の豊かなトーンと相俟って、濃密で決して重すぎない響きを醸し出しています。深くてひんやりとした夜の雰囲気をうまいこと演出している。唸らざるを得ません。軽やか、とまではいかないけれども、ふんわりとした肌触りはある。ただ、4幕の最初なんかは、えらくパンチがきいていますけれど。
そのあたりのカラヤンの采配は、見事としかいいようがありません。
ミレッラ・フレーニ(ミミ)
ルチアーノ・パヴァロッティ(ロドルフォ)
ロランド・パネライ(マルチェッロ)
ニコライ・ギャウロフ(コルリーネ)
ジャンニ・マッフィオ(ショナール)
エリザベス・ハーウッド(ムゼッタ)
ミシェル・セネシャル(ブノア、アルチンドロ)
ゲールノート・ピエチュ(パルピニョール)
ハンス・ディートリヒ・ポール(税関の役人)
ハンス・ディーター・アッペルト(巡査部長)
シェーネベルク少年合唱団
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
パースのビッグムーン。
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