嘉目真木子さんのソプラノ、武田朋子さんのピアノによるコンサートに行きました(2017年6月17日、銀座、CHANELネクサスホールにて)。
嘉目さんはいま、飛ぶ鳥を落とす勢いの歌手だと伝え聞いていたし、演目は日本歌曲なので、このコンサートにとても期待をしていました。
果たして、期待通り、いやそれ以上の素晴らしいコンサートでした。美しいメロディーが日本語と相俟って、なんとも言えない深くて幽玄な魅力を湛えていました。「風を見たひと」と「おんがく」では、泣きそうになりました。
彼女の解説によれば、日本人にとって、日本語の歌曲は逆に難しいとのこと。それは、基礎となる勉強が西洋語であるため。それで長年養われた脳(体)を、いざ日本語に置き換えると、「発語のポジションが異なるため」困難であると。
発語のポジション。
西洋語であると複数の子音・母音がひとつの音符に重なるけれど、日本語だと、ひとつの音が、おおむねひとつの音符に照合する。その違いは、なんとなくわかりますが、具体的にはどう困難なのか、いまひとつわかっていません。
ともかく、彼女の歌は、すみずみにまで細かい配慮がされた、見事なものでした。声は比較的硬質、音量は適切で、ホールの隅々にまで響き渡りました。ヴィブラートは少なめ、けれども最後に音を伸ばすところは、とても上品にかけていました。
とても気品に満ちた歌唱であると言えます。
ピアノは、音の粒立ちがとてもよかった。音がピンと張りつめていて、ひんやりとした響きをだしていたことも印象的。歌手との息はぴったりと合っており、包み込むようにサポートしていました。だから、安心して歌を聴くことができた。
嘉目さん、機会があれば、またぜひ聴きたい歌手です。
木下牧子
「風を見たひと」、「夕顔」、「おんがく」、「恋のない日」
弘田龍太郎
「叱られて」
猪本隆
「ここに見つめ合う目と目があり」
「二月」
高田三郎
「くちなし」
三善晃
「ほおづき」
山田耕作
「風に寄せてうたへる春のうた」
パースのビッグムーン。
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