鶴野紘之さんのヴァイオリン、大貫瑞季さんのピアノによるサロンコンサートに行きました(2017年6月8日、末広町、フィオーレ・フェリーチェにて)
フォーレ ヴァイオリン・ソナタ2番
ブラームス ヴァイオリン・ソナタ3番
イザイ ワルツカプリス
鶴野さんのヴァイオリンは、深く抑揚をつけた、力強いものでした。とくに中低音は、目の前に座っていたこともあり、松脂が飛んでくるのではないかというほど鋭く切り込んでいました。
フォーレの作品においては、ワグネリアンであった彼の、じつは重厚なスタイルもあるところの一面をまざまざと見せつけたし、ブラームスでは、大きくうねる奏法で、抑えきれない激情を大ぶりに弾ききっていました。
また、テクニックの高さは、最後のイザイで端的に示されました。パガニーニばりのハーモニクスを多用した難曲は、彼の手により、とても親しみやすい音楽となり、その技巧を率直に楽しんで聴くことができました。
フォーレのピアノは、特に2楽章で同じような分散和音の繰り返しが多いので、少し持て余しましたが、ピアニストは丁寧に正確に処理したと感じました。またヴァイオリンとの音量のバランスも適切でした。ブラームスとなるとヴァイオリンと同様に、ダイナミックの振り幅の大きいピアノを聴かせました。
全体を通して、ボリュームのある料理をたらふく食べたような、そんな印象を持ちました。
また聴きたいですね、鶴野さんのヴァイオリン。
アンコールは、イザイの「子供の夢」と、ラフマニノフのパガニーニ変奏曲から第18変奏。
パースのビッグムーン。
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