ルチア・ポップのソプラノ、アーヴィン・ゲージのピアノで、シューベルトの歌曲集を聴きました(1983年11月、ロンドン、アビー・ロード・スタジオでの録音)。
ポップは大好きな歌手。今更ながら早世が惜しまれます。生で聴けなかったことは痛恨の極みですが、それを言っても仕方がありません。そのかわり、録音をわりと多く残してくれました。それは私にとって、宝のなかのひとつです。
さて、この歌曲集、すべてがいい演奏。
ポップは声そのものが軽やかでしなやかで可愛らしいうえに、場面によってグッと深い表情もみせる。ときおり、仄かな色香を添えて。
そしてなんといっても、中低音から高音域にずりあがるところの、小鳥の囀りのようなコケティッシュな声は、他のどんな歌手にも出せない魅力だと思います。それを聴きたいために、ディスクを取り出すようなところもある。
そんないいところを特に味わえるのは、「少年」、「ます」、「ばら」、「あふれる愛」、「糸を紡ぐグレートヒェン」、「幸福」。半分くらい占めますね(笑)。
ゲージのピアノで印象的だったのは、アライサと録音した「美しい水車小屋の娘」。これは日本公演でもやりました。
この演奏でも彼のピアノ伴奏は鉄板であって、歌手への寄り添いかたのデリケートさ、技術の高さともに当時のトップクラスだったと思います。
わが心に
流れ
少年
ばら
蝶
ます
さすらい人が月に寄せて
独りずまい
あふれる愛
若い尼僧
水の上で歌う
糸を紡ぐグレートヒェン
漁師のくらし
泉のほとりの若者
シルヴィアに
幸福
パースのビッグムーン。
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