高関健指揮 静岡交響楽団の演奏会に足を運びました(2020年12月21日、東京オペラシティ・コンサートホールにて)。
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
Vn:神尾真由子
ベルリオーズ 幻想交響曲
高関さんの「幻想」で思い出さないわけにいかないのは、昨年のシティ・フィルとの歴史的ともいえる名演。
それに加え、今回は静響が初の東京公演とのことで、出演者の多くがかなりの気合を入れているはず。
とんでもないコンサートになるのではないか。大きく期待しました。
果たして、指揮者の解釈は前回と同様。ハープ2台を指揮台の両脇に配置。ヴァイオリンは対抗配置。
各パートの鳴らせかたは、いたって明快。ここぞという場面でのパンチ力はえげつないほど。
ただ、最後は食い足りなかった。グランカッサは粒だっていてよかったのだけど、ラストの大合奏で縦の線をガッチリ締めるはずの「杭」がほとんど聴こえなかった。
余談ですが、杭がガッチリしている演奏はCDでも少なくて、知る限りドホナーニとマゼール(CBS)、ミュンシュ(パリ管ライヴと62年ボストン響)、クリュイタンス(日本ライヴ)くらい。
それを昨年、高関さんは東京シティ・フィルとの演奏で実現していて、これには震撼したものです。
なので、そこは残念でしたが、オケの技量そのものは、個人技もアンサンブルもレベルが高いと感じました。
神尾さんのヴァイオリンは実にのびのび。まるで、空に大きな円を描くかのよう。テンポはオイストラフ並みで、オケの伴奏部は律儀に弾いていました。
3楽章がまことにユニーク。第1主題をレガートで(まるでジュリーニの「グレイト」冒頭みたいに)朗々と鳴らせたかと思えば、同じ旋律を高音で鳴らすところはセオリー通り。変化のつけかたが巧妙、こんなに楽しい3楽章を今までに聴いたことあったかな?
ずっと聴いていたくなる演奏でした。
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