藤原歌劇団(東京二期会・新国立劇場共催)によるベッリーニ「清教徒」公演に足を運びました(2021年9月11日、新国立劇場オペラパレスにて)。
「清教徒」を実演で聴くのは初めて。なので、寝る前に毎晩CDを聴いていたのだけど、眠りにつくのが早く、最初の10分くらいしか聴けていませんでした。
そんな具合でしたが、観始めると非常にわかりやすい。技術的なところはわかりませんが、簡潔なメロディーとテレビドラマのような筋立てにより、理解するに難儀することはあまりなかった。
それがこの音楽の特長なのかもしれないし、わかりやすい反面、奥行きにいささかの不満を感じもしました。
演奏はエルヴィーラの軽やかにして安定した歌唱が大きな聴きどころでありました。なるほど、ベルカントとはこういうものなのか、と。
アルトゥーロは高音が苦しかった。下手なカウンターテナーみたいな裏声でなんとか乗り切った感があり、3幕のある場面では聴衆が固まったように見受けられました。
全体的に男声はいまひとつだった印象。
そのなかでオーケストラと合唱は冴えていた。前者は、上等なウールのような肌ざわりを感じさせる音色でもって、少年のような躍動感を感じさせてくれました。
後者は、ピーンと張りつめたなかに毅然とした佇まいを纏っていました。
全体を通じては、面白かった。ベッリーニ、また聴きたい。
指揮:柴田真郁
演出:松本重孝
エルヴィーラ:光岡暁恵
アルトゥーロ:山本康寛
ジョルジョ:小野寺光
リッカルド:井出壮志朗
ヴァルトン卿:安東玄人
ブルーノ:工藤翔陽
エンリケッタ:丸尾有香
合唱:藤原歌劇団合唱部/新国立劇場合唱団/二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
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