作曲家・薮田翔一さんによる「かささぎの」コンサートに足を運びました(2018年3月30日、赤坂グローバル・サロンにて)。
彼の歌を聴いて、たんに「美しい」と片付けてはならない何かを感じました。
それは、甘いメロディーを駆使して聴き手に媚びることがないところだったり、少々とっつきづらいところであったり、むやみに斬新さを強調していない点であったり。
クラシック音楽には1度だけ聴いて面白さがわかるものもあれば、そうではない音楽も存在します。それは、現代音楽であろうと古典音楽であろうと。彼の音楽は後者であると感じました。
「百人一首」に曲をつけたものは、1分程度のものですが、これがなかなか甘くない。甘美な要素を注意深く取り除き、純度の高い清澄さがあとに残った、そんな音楽です。
この公演の模様の一部はyoutubeにアップされるとのことなので、聴き直してみたいと思います。
演奏は高いレベルにありました。
山口さんは豊満でドラマティック、ガッチリと線が太い。薮田さんは相変わらず高音の伸びが素晴らしく、たっぷりとした余裕のある歌い回しに感服しました。小川さんは繊細。まるでキャスリン・バトルを思わせるような、鈴のような声色が印象に残りました。河野さんのピアノは潤いと艶のある響きにまず魅せられたし、細かいパッセージにおける音の粒立ちもよかった。万全のサポートだったと思います。
山口安紀子(ソプラノ)
薮田瑞穂(ソプラノ)
小川栞奈(ソプラノ)
河野真有美(ピアノ)
パースのビッグムーン。
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