リッチャレッリのタイトル・ロール、アバド指揮ミラノ・スカラ座、他の演奏で、ヴェルディの「アイーダ」を再び聴きました(1981年、ミラノ、スカラ座での録音)。
これを聴くのは、高校生のときに図書館で借りたレコードで以来。じつに懐かしい。
このオペラは、往々にしてアイーダよりもアムネリスの存在感が目立つことが多いように思いますが、この録音ではリッチャレッリの可憐な歌が光っています。オブラスツォワとは違うタイプということもあるのかも。
低音の男3人衆は抜群の安定感。鉄板ですな。そのなかでヌッチは、この秋にまたジェルモンを歌いに来日してくれます。
歌手陣は極めて豪華ですが、それぞれアクは少ないため、自然に曲を楽しむことができます。アバドもそう。全然気を衒っていないし、派手さを抑えている。流れがいい。
ほぼ同時期に、カラヤンがウイーン・フィルを振った録音は、くだんの行進曲のトランペットをヤマハの楽器で演奏したことが大きな話題になりましたが、このスカラ座のラッパも渋くてなかなか素敵です。
お話は単純ですが、ラストはなかなか痛々しく、祝祭的なところがある反面、陰惨さもある。華麗な前半ももちろん気持ちいいけれど、最後の幕はヴェルディの悲劇作家としての一面が如実にあらわれた音楽であると言えるのではないでしょうか。
アバドの建てつけも、そのようになっていると感じます。
カーティア・リッチャレッリ(アイーダ)
プラシド・ドミンゴ(ラメダス)
エレーナ・オブラスツォワ(アムネリス)
レオ・ヌッチ(アモナスロ)
ニコライ・ギャウロフ(ランフィス)
ルッジェーロ・ライモンディ(エジプト国王)
ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニ(巫女)、他
パースのビッグムーン。
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