第19回「Rainbow Concert」(2017年5月21日、埼玉会館小ホールにて)。
これは、「音楽サークルレインボー」のメンバー28名が出演する発表会です。
友達の河野真有美さんが出るので、聴きにいきました。
彼女が弾いたのは、ショパンの「幻想ポロネーズ」。
この作曲家の独立した曲としては、最大級です。名曲と云われるだけあり、多くの名だたるピアニストが録音を残しています。今まで何度も聴いているはずなのに、意外にとっつきづらく、今回30種くらい聴いて、やっと面白さがわかってきました。
いくつかの演奏には、確かにいいものがあります。恐れ多い言い方だけど(笑)。でも、なにか、焦点の絞りにくい曲であるな、というのが率直な印象。
この曲は、穏やかな部分が多くて、内省的なんですね。そういう叙情的なところと、ときおりバーンと爆発するように強く弾く箇所とのコントラストに妙味があるのだけれど、そのふたつが矛盾しているような感覚に、私は陥ります。
とても難しい曲。
そのあたりをどう捌くのかに着目して聴きました。
河野さんのピアノをまだ数回しか聴いていないので、偉そうなことは言えませんが、芯のしっかりとした音を出すという印象があります。これを基調にして、高くて華やかな調べから、太い重厚な響きまで、とてもしなやかに、柔軟に展開するのです。
彼女のショパンは、ソノリティの肌理が細かくて、気品に満ちた華やかさがありました。それはあたかも、薄紅の薔薇から、馥郁たる芳香が立ちのぼるような。
そして、静と動との対照を、柔らかなタッチで繊細に音符を綴ることで、有機的なひとつの音楽の形として浮かび上がらせました。場面間の移り変わりが、とても滑らかなんです。音楽が持つ仄かな霊感を、掬い上げていることにも成功していました。
最後のほう、フォルテの塊が半音階を交えて力強く上昇するところは、不思議な浮遊感があって面白いものの、ここはもう少し重厚にやってもよかったのかな。そこは好みです。
全体を通して、技術的な完成度が高く、そして若芽のような瑞々しさと、たっぷりとした情感を湛えたショパン。
感銘を受けました。
パースのビッグムーン。
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