彼女のピアノを初めて聴いた。
ショパン(樋口あゆ子編曲) ピアノ協奏曲1番2楽章
ショパン 英雄ポロネーズ
ショパン バラード1番
リスト 愛の夢3番
リスト ラ・カンパネラ
ラフマニノフ(安良岡章夫編曲) ピアノ協奏曲2番2楽章
ラフマニノフ ピアノ・ソナタ2番3楽章
プログラム全体を通して、いくぶん速めでテンポで勢いのあるスタイル。要所で大きなルバートを用いたり、強弱の変化をつけるなど、抑揚がふんだんに盛り込まれた。
技術的に難しい演目であったが、あっさりと捌くあたりは見事。
テクニックは万全。
厚みがありつつも艶のある左手と、目にも止まらぬ素早さで回転する右手とが、双子の幼い兄妹のように絡み合う。右手の打鍵の速さは特筆したい。速いだけではなく、ひとつひとつの音がキチンと粒だっていた。
演目のなかで特に好きだったのは、ショパンのバラードと、ラフマニノフの両2番。
ショパンは華麗で激しい。センチメントを可能な限り排除し、形式美と音色美で勝負した。スピード感が気持ちいい。
ラフマニノフは、コンチェルトの2番2楽章とピアノ・ソナタ2番の3楽章が続けて演奏されたが、それはあたかもひとつのソナタであるかのようだった。ゆったりとおおぶりな2楽章に、息も切らせぬ3楽章。あたかも、ラフマニノフのすべてのピアノ曲を集約したかのような演奏だった。硬軟併せ持った味付けになっていた。
構成の妙。技巧の妙。
アンコールはアラベスクと愛の挨拶。
後者をピアノで聴くのは初めてだったかも。
夢心地。
2016年1月17日、東京、浜離宮朝日ホールにて。
1月。
3月に絶版予定。。
PR