ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団他の演奏で、ベートーヴェンの交響曲9番を聴く。
これでクーベリックのベートーヴェンの交響曲(DG)を一通り聴いた。すっかり年を越してしまった。。
オーケストラはバラバラであるにも関わらず、高いレヴェルで安定しているいい全集だと思う。もちろん、曲によって若干のムラはある。だが、多くがスッと腑に落ちる演奏だった。
この9番もそう。力の入れ方は、強すぎず弱すぎない。ロンドン交響楽団と演奏した1番に対するヴォルテージと同じくらい。ヴァイオリンが対抗配置のためもあるのだろう、スッキリと見通しの良い、気持ちのいい演奏。
1楽章は、力感溢れるなかにも副声部(木管楽器、とくにオーボエ、ファゴット)が鮮明に聴こえる。強いが、重くない。提示部は反復している。
2楽章は、勢いがいい。ティンパニが炸裂する。弦楽器が軋んでいる。トロンボーンが追い込む。中間部のファゴットがとても弾んでいて愉快。木管に比べると、ホルンが意外に遠い。ここも反復あり。
3楽章は、たっぷりと歌っている。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンとの掛け合いが、ことのほか美しい。中間部は心もち速め。ホルンが刻むリズムが楽しい。
終楽章は、激しく色彩豊か。すべての楽器が曇りなく伸びやかに飛翔している。第2ヴァイオリンのキザミが効果的。緻密。「喜びの歌」は若干速め。
歌がはいると、さらに世界が広がる。バリトンのオブリガートのオーボエの面白さと言ったらない。この場面を、このように演奏したディスクは他に少ないだろう。合唱は清冽にして謙虚。出るところは出る。オーケストラとのバランスを考えての配慮かもしれない。
歌手は、女声のふたりが優れていると思う。
ラストは百花繚乱。全楽器が咲き乱れる。とくに、ピッコロは雄弁。華やかに締めくくられる。
バイエルン放送合唱団(合唱指揮:ハインツ・メンデ)
ヘレン・ドナート(s)
テレサ・ベルガンサ(Ms)
ヴィエスワフ・オフマン(T)
トマス・ステュワート(B)
1975年1月、ミュンヘン、ヘラクレスザールでの録音。
1月。
3月に絶版予定。。
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