森麻季さんのソプラノ、山岸茂人さんのピアノによるリサイタルに足を運びました(2018年9月16日、東京オペラ・シティ・タケミツ・メモリアル・ホールにて)。
当代きっての人気歌手をこれまで聴いたことがなかった。正直言って過大な期待はしなかったのですが、じつに素晴らしかった。
曲が始まる前に、森さんが歌詞を詠んでくれたのも嬉しかった。
演目は、前半はイタリア歌曲、後半はドイツ、フランスものを中心に組み立てられていました。
ドナウディの「おお、愛の美しい住処よ」と「私の愛する人の」が出色、死ぬほど恋焦がれる気持ちが、切なく描かれており、たっぷりとした詩情に溢れていました。
ラフマニノフの「ヴォカリーズ」には鳥肌が立った!
後半はシューマンの「献呈」に感動。彼女は、わりとテンポの揺れが大きいのです。これもそうだったし、あとに歌われたサティの「あんたが欲しいの」もそう。でもそれがいやらしくない。むしろ、清廉な味わいがある。艶がありつつも率直な声が、そう感じる一端かもしれない。適度なケレン味の塩梅がいい。
ピアノの山岸さんは、柔らかいタッチが持ち味のようで、ときおり響いた真珠のような丸い音が印象に残りました。表に出すぎず、隠れ過ぎず、バランスのいい伴奏でありました。
このようなリサイタル、また足を運びたいと思います。
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