東京二期会の制作による、マスネ「エロディアード」公演に足を運びました(2019年4月27日、オーチャード・ホールにて)。
ミシェル・プラッソンは、私がクラシック音楽を聴き始めた頃からすでにフランス音楽の第一人者とされていました。かれこれ40年以上前のこと。最近では、新国立劇場の「ウェルテル」公演の予習として、クラウスがタイトル・ロールを歌った有名なディスクを聴きました。息の長い指揮者といえましょう。
とはいえこの「エロディアード」、なにぶん初めて聴いたので比較はできないのですが(演奏の聴き比べはクラシック音楽を聴く醍醐味だと考えています)、深い感銘を受けないわけにはいきませんでした。
舞台は紀元前のエルサレム。王女サロメと預言者ジャンとの関係に対し、王妃エロディアードと王のエロデの愛憎が交錯するという物語。
セミ・ステージ形式は前面にオーケストラ、後方に舞台が設置され、衣装は黒ずくめなものの演技には動きがあり、なかなかの臨場感がありました。
まず最初に合唱に魅せられました。わさわさとした、野趣溢れる歌を聴かせてくれた。
そして、歌手はみんな好調だったかと。透明感のあるジャン、小賢しさい雰囲気をうまく醸し出したエロデ、堂々としたファニエル、声量がたっぷりとあったサロメ、ドスのきいたエロディアード。
オーケストラは、ヴァイオリン4プルト・コントラバス6台ながら、金管・打楽器の人数が多く、舞台の左右までぎっしり埋まっていた。それにもかかわらず、ソロ歌手の声をかき消すことが一切なかったことは、特筆すべきことかもしれません。プラッソンの手腕によるところが大きいのでしょう。
東フィルはところどころ、まるで練り絹に触れるような、甘くて柔らかな音色を醸し出しており、魅せられました。このオケは公演によって出来にムラがあるのだけど、この日は本当に素晴らしかった。
ジャン:城 宏憲
エロデ:小森輝彦
ファニュエル:妻屋秀和
ヴィテリウス:小林啓倫
大祭司:倉本晋児
寺院内からの声:前川健生
サロメ:髙橋絵理
エロディアード:板波利加
バビロニアの娘:金見美佳
指揮:ミシェル・プラッソン
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:大野徹也
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