東京二期会の制作による、オッフェンバック「天国と地獄」公演に足を運びました(2019年11月23日、日生劇場にて)。
まず、お話がくだらなくて面白かった。ひとりの人妻をめぐって天国と地獄を行き来する神様と地獄の王たち。あまりに俗っぽく、制御の効かない下半身の持ち主たちに笑いました。
プルートは歌もいいけれど、セリフのとぼけた味わいが秀逸。ジュピターは恰幅もいいし、声も重厚で、いかにも全知の神にふさわしかったけど、それと裏腹に笑いのセンスもイケていました。
歌そのものを気に入ったのは、オルフェウス役の又吉さん。輝かしさのなかにウィットが効いていていた。ヴァイオリンを弾く演技も板についていた。
ユーリディスを歌った愛さんは繊細で、ここぞというときの高音がなんとも艶めかしくて素敵でした。
大植さんは、確か初めて聴く。重厚なシンフォニーやオペラをやる印象が強かったけど、こういうくだけた音楽もやるのですね。
東京フィルは後半に実力を発揮。いくつかの場面で披露された、蕩けるように柔らかい弦の響きは絶品でした。
指揮:大植英次
演出:鵜山仁
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
プルート:上原 正敏
ジュピター:大川 博
オルフェウス:又吉 秀樹
ハンス・スティックス:吉田 連
マーキュリー:升島 唯博
バッカス:峰 茂樹
マルス:野村 光洋
ユーリディス:愛 もも胡
ダイアナ:小村 朋代
世論:押見 朋子
ヴィーナス:山本 美樹
キューピッド:吉田 桃子
ジュノー:醍醐 園佳
ミネルヴァ:髙品 綾野
合唱:二期会合唱団
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