新宿区民オペラ実験劇場の公演に足を運びました(2022年1月22日、新宿文化センター小ホールにて)。
どちらも比較的短いお話だけど、冬の曇天のようにずっしり胸に響く悲劇。そこに蕩けるような音楽が相まって、心に温かいものがじんわりと滲みるのです。
マスカーニは、あまり品がいいとは言えない痴話喧嘩を清澄な音楽が彩り、そのギャップが面白いオペラ。この間奏曲を初めて聴いたのはスコセッシの映画「レイジング・ブル」によってなので、デ・ニーロ演じる嫉妬深いボクサーが男声ふたりと被ります。
「アンジェリカ」を観劇するのは2度目。最後の、聖母によって救われる云々のあたりは相変わらず実感としてよくわからないのですが、歌は良かった。若芽のような声でもってパッション溢れる演技をしたアンジェリカ、風格たっぷりの佇まいのなかに濃厚な色香があった公爵夫人、などなど。
この日も楽しませてくれました。新宿、頑張れ。
■マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』
サントゥツァ:飯島由利江
トゥリッドゥ:相山潤平
ルチア:久利生悦子
アルフィオ:野村真士
ローラ:小宅慶子
ほか
■プッチーニ『修道女アンジェリカ』
アンジェリカ:中前美和子
公爵夫人:栗田真帆
修道院長:久利生悦子
ジェノビエファ:船津え利
看護修道女:玉田弓絵
ほか
稽古ピアニスト:岩崎能子、竹ノ内純子、松井理恵、河野真有美
指揮:米津俊広
管弦楽:新宿オペラ室内合奏団
演出:園江治
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