Ｒ・シュトラウスの「ばらの騎士」公演に足を運びました（2022年4月9日、新国立劇場にて）。
ミラーの演出による「ばら」を観るのは、数年前以来2度目。視覚的な新味は薄いものの、オーソドックスで細やかな意匠は好み。ゆったりと味わいました。
じんわりとしたのは、1幕の最後で元帥夫人が「キスしないで帰してしまった！」と嘆くところと、3幕の三重唱。作家の思うつぼであります。
歌手陣はいくぶんムラがあったけれど、総じて気持ちのいい歌声を聴かせてくれました。個人的にコロラで馴染んでいる安井さんのゾフィーは、絹糸を引くような伸びと弾力感が快感だったし、オックスはキリっとした歌に加えて、いやらしさ満点の演技も光りました。
白眉は、元帥夫人。3幕において黒いドレスと白手袋であらわれたときの、豪奢な美しさと匂い立つような気品は、しばらく忘れられないかも。
オペラは見た目も勝負だということを痛感しました。
東京フィルは好調だったし、指揮者のタイミングの取り方は絶妙。
全体的にレベルの高い公演だと思います。
元帥夫人：アンネッテ・ダッシュ
オックス男爵：妻屋秀和
オクタヴィアン：小林由佳
ファーニナル：与那城 敬
ゾフィー：安井陽子
マリアンネ：森谷真理
ヴァルツァッキ：内山信吾
アンニーナ：加納悦子
警部：大塚博章
元帥夫人の執事：升島唯博
ファーニナル家の執事：濱松孝行
公証人：晴 雅彦
料理屋の主人：青地英幸
テノール歌手：宮里直樹
帽子屋：佐藤路子
動物商：土崎 譲
合唱指揮：三澤洋史
合唱：新国立劇場合唱団
児童合唱：多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽：東京フィルハーモニー交響楽団
指揮：サッシャ・ゲッツェル
演出：ジョナサン・ミラー
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