ボレットのピアノとデュトワ指揮モントリオール交響楽団の演奏で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番を聴きました(1987年5月、モントリオールでの録音)。
若いころにさんざん聴いたので飽きてしまい、最近はご無沙汰している曲はいくつかあって、そのひとつがこのチャイコフスキー。ホロヴィッツやリヒテル、アルゲリッチやベルマンなどはよく聴いたものだけど、いくつも処分してしまった。同じチャイコフスキーでも、ピアノの2番やヴァイオリンのほうは今でも時折取り出すのです。
ボレットの演奏はゆったり目。大地にガッシリと足がついたような、厚い響きが心地よい。それに加えて、1音ずつ発せられる雨だれのような高音は、あたかも晴れた冬の星屑を想起しないわけにいきません。
3楽章の最後は、「協奏」ではなく「競走」する演奏もありますが、ボレットは前者。威風堂々とした佇まいは一貫しており、スケールの大きなピアノだと感じます。
デュトワの、彩り豊かできめ細やかな演奏も素晴らしい。
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