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小林研一郎、東京フィル、ベートーヴェンふたつ

2020.11.29 - 演奏会

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小林研一郎指揮 東京フィルの演奏会に足を運びました(2020年11月28日、文京シビック・ホールにて)。

「コバケン」の演奏を聴くのは約40年ぶり。
日本フィルでブラームス1番を振ったことと、少しガニ股だったことだけを覚えています。

いま、周囲には彼の熱烈なファンがいるいっぽう、「炎のコバなんとか」などと揶揄する評論家もいて、ほんとうのところはどうなのだろうと気になり、このチケットを購入した次第。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲3番 小山実稚恵(ピアノ)
ベートーヴェン 交響曲5番

小山さんのピアノ、何年か前に「ハンマークラヴィーア」を聴いたのだけど、あまり良くなかった。なのでさほど期待しないでいましたが果たして、好調でした。
とりわけ、ピアノあるいはピアニシモの味付けがいい。ホールに、かぐわしい香気が満ちた瞬間が、何度か訪れました。2楽章は、至福といってもいい時間でありました。彼女の持ち味は、こういうところであったか。

後半の交響曲、1楽章に限っては激しかった。畳みかけるような出だしはジュリーニ/ロス・フィルを思い起こさせたし、チェロが異音(弓が楽器に擦れる音?)をまき散らしつつ野太い音を奏でるところは鳥肌が立ちました。
2楽章以降は柔らかな筆致でもって音世界を描いており、とてもデリカシーに溢れていました。4楽章のラスト近く、注意深く音量を落として、ピッコロを滑らかに浮き立たせるところなど、デリカシーたっぷり。
終始に渡る間の取り方とテヌートは独特なものでありながら、いたって自然なものであり、そこにも繊細な心づくしを感じました。
2,3楽章はやや停滞したけれど、終楽章は再び、力強く推進力を取り戻す。
この曲で感動するのは、何十年ぶりのことだろう。

アンコールは「G線上のアリア」。滂沱。



























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