ブルゾンの題名役、シノーポリ指揮ローマ聖チェチリア音楽院・他の演奏で、ヴェルディ「リゴレット」を聴きました(1984年の録音)。
このオペラは、何年か前にボローニャ劇場の東京公演を観て、いたく感激した覚えがあります。ランカトーレを始めとする歌手陣とオーケストラは、しなやかでかつチャーミングでした。
それ以来、「リゴレット」は好きなオペラのひとつ。
このディスク、なにはともあれグルベローヴァのジルダが聴きもの。山の清水を思わせる瑞々しい歌声は天空を舞うような軽みがあり、たまらなく、たまらなく可憐。そして、ほのかな色香をも纏う。もし天使がいるならば、このような声なのかもしれない。ただただ、夢心地。
シコフのマントヴァはバランスがいい。声質は透き通っているし、パワーもあり、情感もなかなかに豊か。安心して聴いていられます。
ブルゾンは上品。粗野な役柄を、ヴェールにくるんだような柔らかなタッチで演じています。ロイドのスパラフチーレもそう。冷酷な殺し屋というより、温かみがあり紳士然としている。ファスベンダーのマッダレーナは思慮深い味わい。
シノーポリのオケは細やかで切っ先鋭く、劇的迫力に富んでいる。とりわけ、弦楽器の艶やかさに魅入りました。
ニール・シコフ(Ten)
レナート・ブルゾン(Br)
エディタ・グルベローヴァ(Sop)
ロバート・ロイド(Bs)
ブリギッテ・ファスベンダー(Alt)
ジーン・リグビー(Alt)
クルト・リドル(Bs)
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