務川慧悟さんのピアノ・リサイタルに行きました(2017年4月22日、銀座、シャネル・ネクサス・ホールにて)。
シャネルのピグマリオン・コンサートは、いつも当日になってプログラムが発表されます。なので、予習ができないため、初めて聴く曲だったりすることもあります。それはそれで、ドキドキ感があっていいのですが。
この日の演目はポピュラーなものばかりで、落ち着いて楽しむことができました。
プログラム全体を通してのテーマは「舞曲」。まるで、ラ・フォル・ジュルネを先取りしたようなものですが、ピアノという楽器のあらゆる機能を駆使したような演奏に痺れました。
とくに感銘を受けたのは「シャコンヌ」。ヴァイオリンの原曲のシンプルさとは異なり、これは音の洪水です。似て非なるものですが、このブゾーニの編曲を改めて聴いて、デモーニッシュなものの強さを感じないではいられませんでした。それは、美しいけれども、同時に怖い音楽でした。務川さんは盤石のテクニックで、この難曲を弾き切りました。
その前に弾かれた、「亡き王女のためのパヴァーヌ」もよかった。柔らかなタッチが、南欧の午後の太陽のよう。ピアノもこういう演奏ならば、オーケストラ版よりもこちらを取りたくなります。
どれも、とても難しい演目のはずですが、ミスは見当たりませんでした。ピアノはスタインウェイ。欲を言えば、音の響きにさらに磨きをかけたら、もっと素晴らしいのではないかと思います。恐れ入ります。
パースのビッグムーン。
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