ルチア・ポップのソプラノ、ジェフリー・パーソンズのピアノで、シューマンの「愛らしく、やさしいばらやミルテで」を聴く(1980年5月、バイエルン放送第3スタジオでの録音)。
「愛らしく、やさしいばらやミルテで、また馥郁とかおるサイプレス、また金箔で、ぼくはこの本を柩のように飾りつけよう」
この曲はシューマンの作品24「リーダークライス」のなかの1曲。
ハイネの詩は、ロマンティックな佇まいの中に暗い情念が渦巻いている。音楽も陰影がはっきりとつけられており、甘いところは詩にあるようにばらの香りが立ちのぼるよう。
ポップは、知る限り作品24の全部は録音していないようなので、これは貴重な演奏。
パーソンズの流麗なピアノにのって、透明感を湛えながら、少しの艶っぽさをスパイスにしたような歌。相変わらず、中音域から高音域にずり上げるところがたまらなくセクシーであり、参ってしまう。
パースのビッグムーン。
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