二期会とシュツットガルト州立歌劇場との提携による、ヴェルディ「ドン・カルロ」の公演に足を運びました(2023年10月14日、東京文化会館大ホールにて)。
舞台装置は実にシンプルで、そのあたりの自治体オペラに近い様相。巨大な黒い板が場面の区切りとして用いられていました。面白かったのはフィリッポと宗教裁判官との対話シーン。ここでのフィリッポは、上着一枚に下半身はパンツに白いハイソックスのみといった、いささか惨めなスタイル。王の威厳といったものをはぎ取られ、宗教に屈するありさまを顕在化しているようでした。
SNSには一部、こうした演出を批判する意見が出ているようですが、ボクはわかりやすくていいと思いました。
歌手はカルロとエボリが好調。ロドリーゴは最初「おや」と感じましたが、ラストは痺れる歌唱を繰り広げました。
フィリッポはまずます安定していたし、宗教裁判官はドスが効いており、存在感たっぷりでした。
指揮者とオケはどうだろう、終始当たり障りのない弾きぶりといった感じ。胸に響くものはなかったのが残念。
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