二期会によるワーグナー「タンホイザー」公演に足を運びました(2021年2月21日、東京文化会館大ホールにて)。
好みではあるけれど、甲乙いろいろあった公演だと感じました。
タンホイザーは曲線的で柔らか、高音はスッと伸びて気持ちのいい歌唱。聴いたことはないけど、カレーラスがワーグナーを歌ったらこんなスタイルなのではないかな。欲を言えば、ドイツ語の滑舌がもう少しスムーズであれば、もっと滑らかな仕上がりになったのではないかと。
ヴェーヌスを歌った池田さんのワーグナーはこれで4回目だけど、万全。しなやかで奥行きのある声は、バイロイトの常連でもなかなか出せないでしょう。
ヴォルフラムも安定。ふくよかな音色はじゅうぶんなボリュームで大ホールを満たし、抑え気味の感情のあらわれは、男でありつつも野の花のように可憐だとすら思いました。
エリーザベトは手堅いけれど、それに終始していたように聴こえました。ヘルマンは、ちょっと。。
ヴェーヌスベルクの女人たちのダンスはエロくてよかった。全員半裸の状態、なかにはパンティ・ブラでガーターベルトを着用している人も。オペラグラスを握りしめていたことは言うまでもありません。
演出等の舞台は、構図・色彩面においてガチャガチャしてピントが合っていない感があり、美しくなかったし、退屈だった。終始舞台からぶら下がっていた、塔を逆さにしたようなオブジェはなんだったのだろう。意味するだろうものをいくつか考えたが、ピンとこない。
オーケストラは、聴いた限り全曲をほぼノーミスで奏しました。素晴らしい。でも贅沢を云えば、もっと潤いと艶がほしいところ。それが不足しているから、色気も素っ気もないワーグナーになる。これは読売日響に限らないことだけど。
最後に、透明感のある合唱は堪能しました。
ヘルマン:長谷川 顯
タンホイザー:芹澤佳通
ヴォルフラム:清水勇磨
ヴァルター:高野二郎
ビーテロルフ:近藤 圭
ハインリヒ:高柳 圭
ラインマル:金子慧一
エリーザベト:竹多倫子
ヴェーヌス:池田香織
牧童:牧野元美
4人の小姓:横森由衣、金治久美子、実川裕紀、長田惟子
二期会合唱団
読売日本交響楽団
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
原演出:キース・ウォーナー
演出補:ドロテア・キルシュバウム
装置:ボリス・クドルチカ
衣裳:カスパー・グラーナー
照明:ジョン・ビショップ
映像:ミコワイ・モレンダ
合唱指揮:三澤洋史
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