ヴィシネフスカヤの題名役、ロストロポーヴィチ指揮フランス国立管弦楽団・他の演奏で、プッチーニ「トスカ」を聴きました(1976年1月、パリ、フランス放送局での録音)。
これは、なんとも面白いメンツによるトスカ。
ソ連出身の指揮者がフランスのオケを振ってイタリア・オペラを演奏するっていうのも振るっているけど、歌手も個性派が揃う。
トスカは声そのものに華があって、艶やかでもあり、そしてパワフル。強いところで、ときおり叫ぶように発声するところは好みが分かれるかもしれないけど、「歌に生き恋に生き」はしっとりしていてVery Good。
カヴァラドッシは、まろやかにして力強い。そして、柔和さがありつつ芯がガッチリと屹立しているところは、筋肉質のプロレスラーのよう。「妙なる調和」はとてもリリカル、「星は光りぬ」は激唱。
スカルピアは精悍。下品でエロいおっさんというよりは、スタイリッシュなちょい悪オヤジ。「テ・デウム」は堂々たる名唱だと思います。
2幕後半は攻防に一筋縄ではいかない綾があり、変化に富む。スカルピアを殺害した直後のトスカの声色はたっぷりとドスが効いていて、背筋が軽く震えます。
オーケストラは重厚で雄弁。濃い歌手陣をうまく支えているように感じます。
ガリーナ・ヴィシネフスカヤ(トスカ)
フランコ・ボニゾッリ(カヴァラドッシ)
マッテオ・マヌグエッラ(スカルピア)
アントニオ・ゼルビーニ(アンジェロッティ)
マリオ・グッジャ(スポレッタ)、他
フランス国立合唱団
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