ローマ歌劇場による、プッチーニの「マノン・レスコー」公演に足を運びました(2018年9月22日、東京文化会館大ホールにて)。
ローマ歌劇場については、いままで主に1960年代に演奏されたCDによって知るのみでしたが、先週の「トラヴィアータ」を観て、手堅いし底力のあるオペラ・ハウスだと感銘を受けました。このプッチーニも大いに期待しました。
この日の注目は、まずオポライスのタイトル・ロール。コヴェントガーデンでカウフマンと共演しているに加え、バイエルン国立歌劇場とメトロポリタン歌劇場でもこの役を歌っています。
特段綺麗ではないものの、深みのある声が印象的で、色っぽくもあり、ドラマティックでありました。立ち居ぶるまいも自然でよかった。
クンデのデ・グリューは力強く輝かしい。彼はオペラのキャリアが40年以上におよぶとのことですが、とても若々しかった。愛欲に溺れるさまも堂に入っている。
ムラーロのジェロンテは風格たっぷり。ドスの効いたバスの音色は存在感たっぷりでした。
ルオンゴのレスコーは堅実。2幕はジェロンテに足蹴にされていたけど、そういうキャラだったのかな?
舞台はなかなか豪華、かつオーソドックス。冒頭の背景に砂漠をもってきたあたりは、ラストを象徴したものと思われました。まとまりのいい演出。
オーケストラはうまい。技術的に文句のつけようのないものでした。音色は比較的硬く、鋭角的なフォルムを作っていた。それは「トラヴィアータ」でも感じていましたが、少し意外。もちろん、悪いものではないけれど
マノン・レスコー:クリスティーネ・オポライス
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ
騎士デ・グリュー:クレゴリー・クンデ
ジェロンテ:マウリツィオ・ムラーロ
エドモンド:アレッサンドロ・リベラトーレ
指揮:ドナート・レンツェッティ
演出:キアラ・ムーティ
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