ヨハネス・カントーレス・他の演奏による、バッハの「マルコ受難曲」の演奏会に行きました(2017年4月1日、ウェスレアン・ホーリネス淀橋教会にて)。
マルコ受難曲は、1731年の受難節のために作曲されたのははっきりしているらしいのですが、台本のみ残っていて楽譜は消滅しているそうです。だから、他の人の手による復元作業が行われました。それをもとにいくつかのCDがリリースされているようです。
復元版にはいつくかの種類があるそうですが、この日は、Pablo Escandeの補筆によるものが演奏されました。
台本だけ残っていて何故音楽が復元できるのか? でも、これを根拠にバッハがオリジナルの曲を用意したわけではないことを読み解いたようです。
で、この曲は学者たちによれば、葬送カンタータ(BWV198)、アリア(BWV54,BWV100,BWV204,BWV245)などといった楽曲を流用した可能性が高いとみて、それらを元に編集を行なった、と。
実際に通して聴いてみると、マタイの有名なコラールが2部で何度か歌われてあることと、「エリ・エリ・ラマ・アサブタニ」というイエスの嘆きが導入されていることから、復元者はマタイ受難曲のスタイルに寄せようとしたのではないかと、推察しました。
さて、演奏は、伸びやかな福音しかと重厚なイエスとが、盤石の歌い回しでしっかりと土台を支えていました。
指揮者はカウンターテナー・アルトを兼任していて、指揮の最中にやおら振り向いて歌を歌うパフォーマンスが面白かったです。
合唱は、芯のしっかりした男声と、透明度の高い女声とがあいまって、素敵なハーモニーを奏でていました。
オケは比較的小編成で、ピリオド奏法を採用。スリムで軽快な味わいがありました。
復元者であるEscandeが自ら弾いたオルガンも秀逸。
全体を通して、とても興味深い演奏会でした。
パースのビッグムーン。
PR