モーツァルト・シンガーズ・ジャパンによる『コジ・ファン・トゥッテ』公演に足を運びました(2020年2月16日、王子ホールにて)。
フィオルディリージ:針生美智子(ソプラノ)
ドラベッラ:小林由佳(メゾ・ソプラノ)
グリエルモ:宮本益光(バリトン)
フェランド:望月哲也(テノール)
デスピーナ:鵜木絵里(ソプラノ)
ドン・アルフォンソ:黒田 博(バリトン)
山口佳代(ピアノ)
コジの実演に触れるのは3度目でしたが、ピアノ伴奏によるものは初めて。山口さんのピアノは何度か聴いていて、そのふくよかな楽想に感服していました。
そして歌手の豪華なこと。最上の布陣と言えるのではないかしら。だから期待は大きく膨らんでいました。
しばしば、ピアノはひとつのオーケストラと称されることがありますが、この公演を聴き、その言葉に深く納得しないではいられませんでした。しっかりした音量と多彩な音色の広がりに加えて、
歌手とのタイミングもテンポも抜群の安定感。そして、ここぞというときのアクセル全開具合はいたって自然であり、パワフル。オペラ全体をリードしていたように感じられました。
歌手陣も文句なし。雄弁な歌唱はもちろん、コミカルな演技も板についていて、じつに楽しかった。
なかでもとりわけ、フィオルディリージを気に入りました。緻密にコントロールされていたであろう音程の確かさ。艶やかにして、2月の空のように透き通る高音。心にじんわりと染みました。
ラストは大いに盛り上がったし、高揚しました。このモーツァルトの企画は1回目だそうで、これを観てしまったら次も足を運ばないわけにいかないな。
PR