ヒマでヒマで仕方がないGW、ふとラ・フォル・ジュルネのことを思い出し、足を運んだ。
当日券が余っている公演が少ない中から選んだのがこのコンサート。
ラドミロー ヴァイオリンとピアノのための幻想曲
ショーソン ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのコンセール
クン・ウー・パイク(ピアノ)
レジス・パスキエ(ヴァイオリン)
プラジャーク弦楽四重奏団
ショーソンはニコニコ動画で2回聴いて少しは予習できたのだが、ラドミローはまったく初めて聴いた曲。というか、この作曲家の存在を知るのも初めて。
ラドミローはフォーレの弟子で、ナントの出身だそう。だから、今年のラ・フォル・ジュルネのテーマにはうってつけの作曲家ということになる。
曲は5分程度の小品で、印象はまさにミニ・フォーレといった感じ。淡い、物憂い雰囲気を醸し出していて、幻想的な音楽。
メインのショーソンについては
yoshimiさんの記事を参考にさせて頂いた。ここにあるように、この音楽はヴァイオリン・ソナタに弦楽四重奏が伴奏するといった、珍しい形態でつくられている。
今回の実演でもそれははっきりと配置に示されていた。弦楽四重奏の後ろにピアノがあるところは通常のピアノ五重奏のものだが、弦楽四重奏の真ん中にヴァイオリニストが立って演奏する、といったものだった。
演奏は、パスキエの主導で進められているように思えた。彼のヴァイオリンは、残響の少ないホールのせいもあって、決して音色の美しさで魅了させるという類のものではなかったが、気合いはじゅうぶんだった。少々がさついた響きからは、不思議な色気を感じた。
パイクのピアノは細部まで丁寧にケアしたもので、全曲をすみずみまでしっかりとリードしていた。主役というに足る、万全の弾きぶりである。
弦楽四重奏は比較的動きが少なく、ときおりヴィオラとチェロのソロが目立つくらいで、終始伴奏的な役割に徹している。土台をしっかりと支えていた。
それにしてもこの演奏における、アンサンブルの緻密さは聴きものだった。かなりのリハーサルを積んだか、あるいは、メンバー間のコミュニケーションがよかったのか。
全体を通して、緊張感の溢れるいい演奏だった。
2013年5月4日、東京国際フォーラム ホールB5。
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