イタリア・バーリ歌劇場によるヴェルディの「トロヴァトーレ」公演に足を運びました(2018年6月24日、東京文化会館にて)。
レオノーラ役のバルバラ・フリットリが降番。彼女が出演するからチケットを買ったわけではないけれど、やはり残念。代役はブルガリア出身のヴァシレヴァ。2013年にスカラ座と共に来日している実績があるので、期待しました。
そのレオノーラは可憐。潤いのある細い声は飛行機雲のように天を舞って響き渡りました。低音が届きにくいところはあったものの、総じて好み。
マンリーコは曲によってムラがりました。オーケストラと掛け合うところ二箇所でパワー不足を感じました。アリアは文句なし。
ルーナ伯爵はどっしりとした安定感があり、安心して聴いていられました。
アズチェーナはドスの効いた歌声が腹に沁み渡るようで素晴らしかった。メゾというよりはアルトかコントラルトの人なのかな。
オーケストラの力量は新国立、つまり東京フィルや東京交響楽団と同じくらいとみました。指揮者のリードは歌手優先と思われ、音量のバランスを丁寧に紡いでおり、コンパクトであり小回りのきいた演奏だったと感じました。
演出は極めてオーソドックス。節約舞台でもある。
このオペラは、陰惨なシーンでも音楽のトーンは比較的明るい印象があります。概ね、ヒロイックな響きを醸し出している。よって、CDだと物語の悲惨さが薄れて聴こえます。「トロヴァトーレ」の舞台を観るのは初めてですが、このあたり、やはり音楽に集中してみると明るめかなあ、との感想は変わりませんでした。
スヴェトラ・ヴァシレヴァ(レオノーラ)
フランチェスコ・メーリ(マンリーコ)
アルベルト・ガザーレ(ルーナ伯爵)
ミリヤーナ・ニコリッチ(アズチェーナ)、他
指揮 :ジャンパオロ・ビサンティ
管弦楽:イタリア・バーリ歌劇場管弦楽団
合唱 :イタリア・バーリ歌劇場合唱団
演出 :ジョセフ・フランコニ・リー
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