東野圭吾の連作短編集「予知夢」から「夢想る」(ゆめみる)を読む。
「予知夢」を読んでいる最中だが、作品によってムラがある。なかには「おいおい、いくらなんでもこれはないだろう」というものもあるが、「夢想る」のトリックはなかなか読ませた。
犯人が小学校の頃に憧れた女に対してストーカー行為をしている。その女は女子高生。ただ、犯人が小学生の頃にはまだ女は生まれていなかった。犯人は予知夢を見ていたのか? という筋書き。おなじみ湯川博士が謎を解き明かすまでわけがわからなかった。
娘の母親が猟銃で犯人を撃ち殺そうとするあたりは、ややトンデモなのであるが。
ショルティ指揮ローマ歌劇場の演奏で、ヴェルディの「アイーダ」を聴く。
ショルティは剛腕だとよく言われるけれども、シカゴに就任してからはかなり大人しくなったと思う。なので、彼の超攻撃的な音楽を聴くのであれば50年代~60年代のものがいい。この「アイーダ」は1961年の録音であるから、もってこいである。
ローマのオーケストラはじゅうぶんにうまい。音色はヴァイオリンをはじめとして雰囲気がある。緻密さにいささか欠けるものの、勢いで聴かせる。凱旋行進曲のトランペットの、なんという鋭さ。色とりどりの豪奢さがあり、響きは鋭角的。鳴りが気持ちいい。
歌手もスゴイ。濃ゆいのだ。プライスもゴールもなんとも豊満な声。花咲き乱れる恋の国を逍遥するというには成熟しすぎている感も。ヴィッカーズはテノールであるのにずいぶんと恰幅がよい。
オーケストラともども、祝祭的な雰囲気がむせかえるよう。聴いて元気が出る演奏である。
レオンタイン・プライス(ソプラノ:アイーダ)
ジョン・ヴィッカーズ(テノール:ラダメス)
リタ・ゴール(メゾ・ソプラノ:アムネリス)
ロバート・メリル(バリトン:アモナズロ)
ジョルジオ・トッツィ(バス:ランフィス)、他
ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団
1961年7月、ローマ歌劇場での録音。
スワン河。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR