トスカニーニ指揮NBC交響楽団・他の演奏で、ヴェルディ『仮面舞踏会』を聴きました(1954年1月、ニューヨーク、カーネギーホールでの録音)。
リッカルド:ジャン・ピアース(テノール)
アメリア:ヘルヴァ・ネッリ(ソプラノ)
レナート:ロバート・メリル(バリトン)
オスカル:ヴァージニア・ハスキンズ(ソプラノ)
ウルリカ:クララーメ・ターナー(メゾ・ソプラノ)
シルヴァーノ:ジョージ・チェハノフスキー(バリトン)
サムエル:ニコラ・モスコーナ(バス)
トム:ノーマン・スコット(バス)
ロバート・ショウ合唱団(合唱指揮:ロバート・ショウ)
これは躍動感に満ち満ちた演奏。
トスカニーニ最晩年の演奏であり、かつ最後の録音のひとつとされているけど、言われなければわからない。隅々まで毅然としていて格調高い。野趣に溢れてもいる。ヴォットーの演奏も名盤誉れ高いのだが、これを聴いてしまうと生ぬるく感じてしまう、それほどまでにここでのトスカニーニは素晴らしい。
どういうわけか、オペラとオケとの両方を同じくらいに演奏する指揮者は、たいていオペラのほうが面白いと感じる。シンフォニーはわかりやすいから、聴かせるのが難しいということか? トスカニーニも例に漏れないように思う。
オペラなのに指揮者ばかり褒めているけど、存在感があまりにも濃いのだから仕方がない。
歌手ではレナートがドッシリ安定している。筋肉質なバリトンはヒロイックで清冽でもあり、リッカルドを圧しているように感じる。
あと合唱もいい。アンサンブルが機械的ではなく、温かみのあるところがこの作品に合っているよう。
いずれにせよ、このディスクはトスカニーニを聴くためのものと云っても言い過ぎではないと思います。
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