ペライアのピアノで、ベートーヴェン『ハンマークラヴィーア』ソナタを聴きました(2016年11月、ベルリンでの録音)。
先日に友人と『目当てのコンサートが中止ならばCD聴くしかないよね』というようなことを話したんだけど、その勢いで買ったもの。
購入して正解。これは、たっぷりとした厚みのある演奏。
1,2楽章は中庸、アダージョはややゆっくり目、終楽章はいくぶん速め。そんなテンポ設定に感じます。
音色は非常にクリア。でもそれは機械的なものではなく、隅々まで適度な温もりが行き渡っている。左手なのかな、とりわけ中低音を例えれば、見たことのないギリシャの神殿を夢想させる威容。トーンは明るいのだけど、どっしりとした大きな広がりを感じないわけにいかない。
3楽章はおおらかな流れの中でときおり細かで強い打鍵を放つところが面白いし、終楽章はそれまでの幹の太さを持続させつつ、ラストに向けて徐々に熱を解き放っていきます。
この曲で感動したのは、ずいぶんと久しぶり。
この曲には思い入れがあるから、いくつかのCDは一度聴くなり処分してしまったけど、これはまた聴きたいと思わされました。
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